今「地域医療」に熱い関心が集まっている。
今日、「地域医療」はまた新たに注目を集めつつあります。「家庭医療学」など地域医療の実践に関心を持ち、生活習慣病・慢性病の治療のみならず、広く「健康作り」を通じて地域社会作りに貢献したいという思いをもつ、研修医、医学生が増えています。
地域医療では狭い意味の医療だけでなく、患者さんと長くつきあっていくこと、生活、仕事や家庭のこと、それらを取り巻く社会背景・社会制度などへの視点が欠かせません。
精神医療こそ「地域医療的」である。
そうした意味では、精神医療こそ、実はもっとも地域医療的なものなのです。イギリスのTyrerは、精神医学は、ほとんどどんな場面でもその技術が応用することができ、他の医学分野よりも地域医療を展開するには有利であると言っています。
従来の日本の精神医療のイメージを変えよう。
しかしながら従来、日本においては精神医療は必ずしも地域医療としてイメージされていないのが実情かも知れません。精神科医として多くイメージされるものの一つは、閉鎖病棟で患者さんを管理する一方で、医局で精神病理学の難しい本を読んで、時には評論活動をしているというものではないでしょうか。もう一つは、締め切ったカウンセリングルームで1対1で精神療法をやっているというものでしょうか。両者に共通しているのは、まさに「アイボリータワー」に閉じこもっているということではないでしょうか。
これは日本の精神医療が未成熟な段階にあることにもよります。古くは1968年のクラーク勧告から、精神病院の収容主義、長期入院は国際的にも指摘されてきたところです。根本的には日本の精神医療政策・福祉の貧困に要因があります。
そんな中でも私たちは「人権感覚」を持ち「開放病棟医療」そしてさらに「地域医療」という理念を掲げて実践を重ねてきました。
「いつも問題だらけ」が地域医療の真の姿。でもそれでいい。
私たちの精神医療の実践は、世界的にはあたりまえの精神医療、地域医療への取り組みです。そこでは、いわゆるホスピタリズムにおちいる状況はなく、地域で生活する患者、精神障害者の人たちがいます。開放病棟が中心で地域に開かれ、患者さんの地域生活を支えるという意気込みのスタッフがいます。そこには当然、問題が山積み。「患者さんの人権を尊重する」という美しい言葉だけでは解決しません。そう、「みさとは今日も問題だらけ。」でも、それでいいのです。地域生活とは本来そういうものではないでしょうか。 皆さんも、地べたをはいずり回るような地域精神医療の実践に参加してみませんか。
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