東葛病院 地域に根ざしてともに歩む
 
東葛の健康

No.262 2006年5月号

穏やかな最期をむかえられて

療養病棟での看取り

 東葛病院の療養病棟は、本来ショートスティと、一般病棟からの転棟で在宅調整と転院待ちの患者様が対象となる病棟ですが、この1年で他の施設からの入院依頼や院内の転棟で、「看取り」となったケースがありました。状況はさまざまでしたが、どの方もしずかにご家族や職員に見守られて穏やかな死を迎えられました。療養病棟の役割に新たな展開が訪れた? といった感想でとまどいもありました。
療養病棟・看護師長 野口輝美

 多様な介護施設が増えていく中で、医療を必要とする患者様の療養病棟での看取りも増えるのではないかと感じています。ご家族本人の希望を正面から受け止め、しっかりと要望に沿った最後のときをすごせる場でもあると想います。

私たちに何ができるかを探りつつ

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療養病棟の談話室にて(右の白衣が野口看護師長)

 有料老人ホームからSさんの入院を依頼されました。
 Sさんは86歳で、当病院の循環器の患者様で、ペースメーカーの植え込み等で入退院されていました。Sさんは「機械に生かされるのはいやだ」「このまま自然に最期を迎えたい」と強く希望され、ご家族もSさんの意思を尊重したいと願っておられました。そして、予後1〜2週間というきびしいところで、入院の依頼となりました。
 お食事は食べられず1時間ごとの飲水介助と、うがいの介助を行っておりました。ご家族は、最後までポータブルトイレへの介助を強く希望されていました。Sさん本人やご家族の希望に沿ったケアを通して、私たちに何ができるのか…探っていきました。

「お風呂に入りたいわ!」を実現

 Sさんはとてもしっかりとご自分の意見をお話しされる方で、「お風呂がすきなんだけど、このところ入れてもらっていないの…入りたいわ!」と望まれました。私たちは、何度も除脈発作で意識をなくすことがあったということと、「医師から予後1週間と告知をされている」という状況の中で、悩みながらの結論ではあったのですが、もしものことがあっても入れてあげたい! と考え、職員のこの思いを医師とともにご家族に伝え、ストレッチャー入浴を実行しました。「本当にに気持ちよかった! うれしい!」と満面の笑顔で応えてくださいました。
 そして3日後、娘さんに見守られて静かに息を引き取られました。ほんの5分前までお話していらっしゃいました…。とても穏やかな最期でした。
 今後は、こういった役割も療養病棟に求められることと思います。大事なときを充実させられるように、看護・介護に力もつけていきたい。「悲しいけれど、ここで看取られて幸せだった!」といってもらえるように……。
 現在のような療養病棟の存続が危ぶまれる今回の診療報酬「改定」の中では、患者様、ご家族の方のご要望に応じきれない状況があります。そのような「改定」に憤りを感じています。
 本当に患者様、ご家族の方の要求にあった看護・介護ができる療養病棟にしたいと強く思っています。



明日を担う若い力

新人23人、希望を胸に入職

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23人の元気な新入職員=4月17日、病院玄関前で

 今春、東葛病院は研修医4人、看護師11人、臨床検査技師2人、臨床工学技師1人、理学療法士2人、介護福祉士2人、事務1人、合計23人の新入職員を迎えました。
 法人の合同研修を経て、4月17日には東葛病院でオリエンテーションを実施。真新しい制服に身を包んだ23人が勢ぞろいしました。下正宗副院長が「わからないことはあいまいにせずに聞くこと。聞かれたことで先輩も勉強をする」と歓迎の挨拶。

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3つのグループに分かれてディスカッション

 星野幸治事務次長が、病院の歴史について、倒産から再建運動、法人合同にいたる経過を述べ、地域から大勢の支援者が銀行との交渉に参加し、職員が寝ずの番で債権者の取立てから医療機器を守ったことなど紹介。新人は設立当初からの在職者の話を真剣に聞いていました。
 グループごとのディスカッションでは、「一日も早く一人立ちしたい」「仕事や環境など、病気の背景をつかむことも大切なんですね」「再建運動が、地域の方々と病院の結びつきを強くしたと感じた」などと全員が発言。だいぶうちとけ合った様子で、抱負や感想を出し合っていました。


人間の尊厳を守り、差別のない医療を

院長 本間 章

写真 東葛病院は総合的な役割を担う地域の基幹病院です。医師研修や看護師養成にも取組んでいますが、初期研修では、けっして専門分野に偏らない、全人的に診る視点で技術習得ができるように力をそそいでいます。
 立派な建物をつくり、高度な設備を整えれば、それだけでいい医療ができるわけではありません。一人ひとりかけがえのない命。人間の尊厳を守り差別のない医療をめざしましょう。地域の多様な要求に応え、住みやすい町づくりにも貢献してください。
新入職員オリエンテーションの講義より(要旨)



クスリ あ・れ・こ・れ

ジェネリック医薬品について

効き目は同じです

薬剤師 岡田 まさ子

写真 最近、新聞やテレビの広告で「ジェネリック医薬品」という言葉を耳にしたことはありませんか?
 新薬(先発医薬品)の特許(発売から20年〜25年間)が切れた後に、別の製薬会社でも同じ成分、同じ効き目の薬を製造、販売できるようになります。これがジェネリック医薬品です。後から出された医薬品なので「後発医薬品」とも呼ばれています。
 新薬が発売されるまでには長い歳月と莫大な研究開発費がかかります。
 一方ジェネリック医薬品は、新薬の情報をもとに開発されるので、研究開発費が新薬に比べて非常に少なくすむので低価格で提供することができます。ジェネリック医薬品の薬価は新薬の20〜70%安くなっています。そのため患者さんの自己負担が軽減され、国の医療費の節減にもなります。
 当院は以前よりジェネリック医薬品への変更をすすめてきました。自分が使用している薬の名前が突然変わって戸惑った事がある方もいらっしゃると思います。医師、薬剤師のほうも変更になった薬の名前がすぐに出てこないという事もあります。
 このように多少の混乱はあるものの医療費の軽減のためには、ジェネリック医薬品の使用は必要であると考えております。
 変更の際は適切な情報提供を心がけていきますので、ご協力をお願い致します。



聴診器

周辺住民にもアスベスト被害

▼先日、機械メーカーの「クボタ」が中皮腫など石綿による健康障害をきたした周辺住民の患者、遺族に労災並みの補償を行うとの記事が載りました▼その少し前にはNHKでアスベストの特集番組も放映され、「クボタ」はアメリカの石綿メーカーに直接出向いて石綿による健康障害の調査をしたのに、警告を無視し続けたことが明らかにされました。すでに、石綿による肺がん、中皮腫の問題は、周辺住民にも被害が及び、労災職業病の範囲を越え「公害」の域に達しています▼東葛病院でも昨年秋から、建設労働者の方を対象に胸部のCT検診を行ってきましたが、アスベストに暴露<ばくろ>されていた証拠といえる「胸膜肥厚斑」の所見のある方が多数見つかりました。また、最近手術をした肺がんの患者さんにも同じ所見があり、労災の申請を行いました▼怖いのは自分が暴露されていると気づかずに健康が侵されていたことで、今後も検診を継続していくことが必要と思われます。
(川村光夫)



発熱の対処法を学びました 第1回

子育て支援・子どもの病気セミナー

 4月15日、付属診療所の小児科待合室で、第一回子育て支援・子どもの病気セミナーが開かれました。テーマは「熱が出たらどうしましょう〜熱のでる病気とその対応〜」です。伊東繁副院長は「診察室の限られた時間では十分お話できないこともあり、そこを補うことがでればと思い計画しました」とあいさつ。

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質問に答える伊東副院長と関看護師=4月15日付属診の小児科待合室で

 はじめに安斉章子看護師が「高熱がなくても、機嫌が悪い、食欲がないなどの状態には要注意。お母さんお父さんが『いつもと違う』と思ったら迷わずに小児科へ」と話しました。
 次いで小林嘉代医師が、熱の出る疾病と治療法などを紹介。

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スライドを使って話をする小林小児科医師。赤ちゃん連れの父母や職員15人が参加

 坂本真保医師は「熱さましで平熱に戻すのではなく、1℃でも下がればいいです」と解熱剤の役割を説明。
 関さやか看護師は、子どもの模型を使って点滴の実技。「針をさす時は『お母さんが助けてくれない』と思わせないように、子どもの目から母親を隠します」と。
 父母からは「市販の熱を下げるシートは効きますか」「インフルエンザがはやるのは冬だけですか」などの質問が出され、病院スタッフはそれぞれ「シート型はすぐに体温と同じ温度になって、熱を吸収しにくくなります」。「インフルエンザ・ウイルスが増殖するには、冬の気温と湿度が最適なので冬にはやります」と答えていました。次回への期待が広がります。




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