東葛病院 地域に根ざしてともに歩む
 
東葛の健康

No.263 2006年6月号

東葛地域学術運動交流集会開かれる
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次々に発表される演題に耳を傾ける職員=東葛看護専門学校講堂にて

こんなときこそ 前向いてワクワクしようよ!

 5月17日、東葛地域学術運動交流集会が東葛看護専門学校で開催され、107名が参加しました。今年のテーマは「東葛地域…NOW! 〜みんなと共有したい、私たちの職場の取り組み」。発表された14演題(紙面・ポスター発表含む)のいずれにも、厳しさを増す医療情勢の中で、患者・家族の願いに懸命に応えようとする職員たちの奮闘ぶりが表れていました。また初の試みとして最優秀賞とNOW賞が用意されました。

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最優秀賞を受賞し、よろこびを語る三尾義明さん

●レジオネラ属菌と格闘して
 最優秀賞に輝いたのは東葛病院施設課の「レジオネラ属菌との3年間のつきあい」。レジオネラ属菌は36度前後で最もよく繁殖するとのこと。03年に検査を始めたところ「予想に反し、次々に菌が出てしまった」と発表者の三尾義明さん。原因を調査すると、夜間、給湯用ボイラーを止めていたため温度が下がり、菌の繁殖しやすい環境だったことが判明。
 すぐに対策を講じ、給湯24時間連続運転、浴室シャワー、蛇口の熱湯消毒、塩素定期投入、と次々に手を打ち、05年以降、菌は目標値内に。蛇口消毒と一口に言っても病院全体で170個もあり、大変な作業です。地道な仕事によって東葛病院が機能していることを実感する発表でした。
 三尾さんは「仕事が認められたことが嬉しい」と語りました。

●地域に根ざす「そ よかぜ」の取り組み
 NOW賞には野田南部訪問看護ステーションそよかぜの取り組みが選ばれました。
「そよかぜ」は野田市内の訪問看護ステーションの中で唯一居宅介護支援事業所を兼ねており、また、24時間365日の連絡体制、緊急訪問看護体制をとっているのもここだけ。「患者様・ご家族の願いに応え、あきらめず、ここまでと限定せず、原則をふまえ、やれることは全てやる」という基本スタンスで取り組んできた、と発表者の五十嵐きよみ所長。
 さらに地域の医療機関、介護関連事業者、行政などとの連携を進めており、患者数・訪問回数ともに増加。経営的にも05年度は経常利益が予算を大きく上回ったそうです。

●患者様の思いに寄り添って
 東葛病院3階病棟Aチームの発表は「S氏の思いに寄り添って」。AチームはHCU・循環器内科を中心とした急性期を担当。多くは重症者であり、「病状の変化に追われて、患者様の思いに寄り添った看護ができないジレンマがある」と発表者の内田有紀さん。
 糖尿病性腎症で透析通院をしていたS氏が気管支炎を併発して入院。人工呼吸器装着が長期になり、気管切開を余儀なくされました。闘病生活が長引くにつれ、「どう関わってよいか悩み、行き詰った」と言います。
 ある日、「今年も桜が見たい」というS氏の思いを知り、お花見計画を立案、様々な準備を経て実現させたのです。具体的な目標を患者様と共有することが患者様の意欲を引き出すことにつながるという実践でした。

 この他にもALSの取り組み(東葛病院倫理委員会)、東葛病院の医師研修(医師研修委員会)など様々な職種から発表があり、実り多い2時間でした。



喀血に対する新しい治療法:気管支動脈塞栓術

東葛呼吸器研究会で川村副院長が講演

 さる5月19日(金)に柏市内のホテルにて、東葛地域の呼吸器研究会が開催され、東葛病院呼吸器科医師と付属診療所看護師より一般演題の発表と「喀血に対する治療、外科切除と気管支動脈塞栓術」の講演がありました

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東葛地域の呼吸器研究会で講演する川村副院長=柏市内

 今回の研究会は「第2回東葛呼吸器ネットワーク」という呼吸器の疾患を介して病診、病々連携のネットワークづくりを目的とする会で、我孫子、柏、松戸、流山、野田の各市医師会の後援を得て、東葛地域の医師、看護師が参加しました。
 最初に「呼吸不全末期患者の在宅緩和ケア」と題して、呼吸困難になった筋萎縮性側索硬化症といった難病の患者様を自宅で家族に見守られながら看取った事例を付属診療所の南谷千寿子看護師が発表しました。
 続いて、呼吸器科の星野啓一医長が「筋萎縮性側索硬化症11例のまとめ」を発表しました。この難病になると徐々に呼吸筋の働きが低下し、人工呼吸器を装着することがありますが、鼻マスクでの人工呼吸が有用であった例も紹介され、活発な討論が行われました。
 最後に、喀血の原因と治療について呼吸器外科の川村光夫副院長から講演がありました。実際の喀血症例から外科切除の適応や「気管支動脈塞栓術」といった治療法を紹介しました。
 「気管支動脈」は胸の大動脈から気管支に沿って肺の中に分布する血管ですが、この動脈をつめて出血しないようにするのが塞栓術です。
 川村医師は、気管支動脈塞栓術の豊富な経験があり、最近は循環器科と協力により着脱可能なコイルでの塞栓といった新しい手技をビデオを示して説明しました。
 今回の研究会を通じて東葛地域の呼吸器診療の交流が深まることが期待されます。



歯科コーナー

ちょっと恐い 歯周病の話

東葛歯科医師 山口賢治

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診療治療中の筆者

歯周病とは?
 歯周病とは何かご存じですが? 少し前は俗に歯槽膿漏といわれていたものです。
 歯周病は進行の程度によって、歯肉炎と歯周炎に分類されます。炎症が歯肉に限局していて、症状が比較的軽いものを歯肉炎といい、正しい歯磨きを心がけることで良くなります。
 これに対して炎症が歯肉の内部にまで進行し、歯を支える組織の破壊を伴うものを歯周炎といいます。歯周炎は重傷になると、歯が大きく動揺して、最終的には抜け落ちてしまいます。
 これだけでも恐ろしいことなのですが、実は歯周病が全身疾患と大きな関係があるという、もっと怖いお話が今回の内容です。

歯周病源菌で肺炎
 まず肺炎について、ただしここでは対象を高齢者に限定した上で、お話します。
 肺炎の場合、歯の無い人より歯のある人の方が、発現率が高いということが知られています。このことから、歯周病に関連する細菌が原因ではないかと考えられました。
 そこで歯磨きをしっかり行うことで、口の中の細菌を減少させる試みを、長期間続けたところ、肺炎の発現率が低くなることがわかりました。
 これはつまり、歯周病源菌の含まれた唾液や食べかすが、誤ってて気道に入り込んでしまったために、引き起こされたものと考えることができます。ですから前述したように、日頃から口の中を清潔に保っておくことが、予防のうえで非常に重要になってくるというわけです。

歯周病と全身疾患
 最近の研究の結果で、脳梗塞や脳血栓および心臓疾患と歯周病との関連性に注目が集まっています。例えば成人男性で歯周病を有する人は、脳梗塞に至る割合が高いことが報告されています。
 この両者の関連性は次第に明らかにされているものの、現時点では発現頻度が高いという調査結果と、全身疾患の臓器の組織から歯周病に関連する細菌が検出されるという事実があるだけです。
 今後の研究の進展に期待が持たれます。
 糖尿病に関しては、歯周病との相関関係が判明してきています。どちらか一方の疾患が良くなれば、もう一方も良くなる、あるいはそれとは逆の症例が臨床の現場で見られることが報告されています。



聴診器

外科系に進む若手医師が減ったのは?

 今年の臨床研修を終えて大学に残る若手医師の割合が、4年前に比べて20ポイントも減少し、特に、脳神経外科や一般外科では30・40%も減少しており、今後の影響が懸念されています。私自身、呼吸器外科医ですので、どうしてそうなったのかは理解できます。
 それは、夜間の緊急手術など仕事がきつく、一人前になるまでの期間も長いうえ、生命に直接関わることへの強いストレスなどがあります。加えて医療安全に関する一般の認識に誤った状況があります。
 例えば100%安全な手術やお産はどこにもありえないのに、医療ミスの疑いで警察が介入し、産婦人科医が逮捕される事件がありました。これは驚きを通り越えています。それでも私が外科医を続けてきたのは、元気になった時の患者さんの笑顔でした。しかし、現在は若手医師が外科医への道を継続するのに極めて困難なことばかりであり、抜本的な対策が必要です。
(川村光夫)





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