迎春
明日の東葛の医療を語る
新春座談会
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| 向かって左から、耒住修・研修医師、伊藤淑子・総院長/指導医師、栄原智文・研修医師、(右奥)宮田朗・研修医師、杉見創・研修医師 |
出席者
| 東葛病院院長 |
本間 章
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| 総看護師長 |
志田栄里子
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| 研修医師 |
耒住 修
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| 同 |
梨本 洋
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| 同 |
宮田 朗
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| 看護師 |
大野 碧
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| 同 |
川村 満
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| 【司会】副院長 |
川村 光夫
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東葛病院は、以前より医師の研修に積極的に取り組み、多くの医師を育ててきました。2004年から新制度となりましたが、引き続き研修医を受け入れています。
年頭にあたり現在研修を行っている一年目の研修医と、同時入職した若手看護師に昨年の振り返りと今年の抱負を語っていただきました。
新しい力に期待
司会 あけましておめでとうございます。
本日の新春座談会は、次の世代を担う若手の研修医と看護師さんに存分に語っていただきたいと思って企画しました。ではまず、東葛病院の医療・看護の到達点について、本間院長、志田総看護師長からお願いします。
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| 本間 院長 |
本間 今、地域医療の崩壊が叫ばれています。小児科や産婦人科がなくなったり、療養病棟が縮小されるなど、医療を受けられない時代になってきています。こうした厳しい医療情勢の中で、差額ベッドがないなど差別のない医療を実践する民医連医療は、地域住民から大変期待されています。
東葛病院の外来には月平均900名を超える外来患者さんが受診されます。全国的には、診療報酬制度が変わり、患者さんの受診抑制が進み、多くの病院で外来患者が減っていますが、東葛病院は前年比で約2%増えています。これは私たちの医療に対する信頼感が高まっている結果です。
看護師の争奪戦
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| 志田 総看護師長 |
志田 去年4月の診療報酬の改定で新たな看護師配置基準が出され、新制度7対1基準を取得するために看護師の争奪戦が起きるという状況が生まれてきています。過疎地では看護師がいなくて病棟を閉鎖する事態さえ生まれています。
看護の質という点では、一般病棟の平均在院日数が短くなり、夜勤明けで出てくると、3分の1ぐらいの患者さんが退院しています。患者さんの名前と顔が一致しない中で勤務につかなければならず、看護を継続し、質を上げることが大変になってきています。さらに、複数の疾患を抱える高齢の方が増えてきていますので、いろいろな疾患を総合的にみるような看護の力が要求されています。看護部では、患者さんの一つひとつの事例を大事にして、学習会を開いたり、先生方と一緒にカンファレンスをしながら、民医連らしい看護の展開ができればいいなと思っています。
「赤ひげ」に惹かれて
司会 それでは、どうして医師、看護師になったのか、なぜ東葛病院に入ったのかをお聞きしたいのですが。
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| 耒住 研修医師 |
耒住 畜産系の大学を卒業して製薬会社に就職、日々、動物を相手に研究していました。それで、病気だけではなく、患者さんをみるような仕事をしたいということで医師をめざしました。
東葛病院を選んだ理由は、たまたま東葛病院のホームページを見て実習を申し込み、そのとき先生方に丁寧に教えてもらい、いい医療をしていると感じて選びました。
宮田 医師になるきっかけは、両親が病院に勤めていて、親の後押しがあったことが一番大きいと思います。東葛病院は雑誌で見て、地域医療をやっていて、救急も受けているこということで実習に来ました。実習のときに生活保護の患者さんの退院後のフォローもやりました。大学病院では退院後のケアまではやりませんので驚きましたが、そういうこともあり、ここでやっていきたいと決めました。
梨木 私は中野・代々木病院の研修プログラムに参加しています。どんな医師になりたいかと抱いたイメージは、町のお医者さん、診療所のお医者さんでした。5年生の夏に、たまたま中野共立病院のホームページを見つけて、その中にあった「命はお金で決められない、赤ひげになりませんか」という言葉に惹かれて決めました。
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| 大野 看護師 |
大野 私が看護師を目指したのは、母が看護師をしているというのが大きいです。女性が自立して生きていくには看護師の仕事がいいと考え、母から「向いてるかも」と刷り込まれ(笑)、看護学校に入学しました。卒業後は地元に帰る選択もありましたが、同じ志を持った人と働きたいと思い東葛病院にしました。
川村 ぼくは元々柔道をやっていて、柔道整復師になりたかったのですが、入学金が非常に高くて諦めたものの、医療系には進みたくて看護学校に入りました。周りが女性ばっかりで最初はすごく苦労しましたが、実習を東葛病院でやっていて、そのうちにあこがれの看護師さんができたりして、ここの病院で働きたいと思いました。
今求めらる安全・安心と倫理問題
差別のない医療を
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司会
川村 副院長 |
司会 実際に働いてみて、自分の思いと現実とのギャップを感じているのではないかと思います。今、どんなことで悩んでいるか、患者さんとのかかわりなど、具体的にお話しください。
耒住 初めは患者さんとどう接してよいか、迷いましたが、東葛病院は患者さんとの距離が非常に近いと感じています。患者さんとのかかわりについては、重い病気で苦しんでおられる生活保護の方を担当する機会がありまして、退院後の生活など病気以外のことにも悩みました。生活保護は削減の方向が打ち出されていて、気にかかります。
本間 今、差別のない医療の実践が非常に難しくなってきています。医療機関の中には、当然のように差額を取って、「お金があれば十分にみます」というところもあります。そういう中で、民医連で働くわれわれは、さっき「赤ひげ」という話もありましたが、「差別のない医療を実践する」というところに信念をもち、やりがいを感じています。そういうものを研修の中でつかんでほしいと思います。
人間の尊厳とは?
宮田 患者さんが退院するとき、在宅でどう療養されるかの調整が難しくて悩みます。変な言い方ですが、病気を治す以上に退院後の生活を考えるほうが大変で。人それぞれ、家族それぞれですから、どうすればいいか悩みます。
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| 梨木 研修医師 |
梨木 私は、その人全体をみれる医者になりたいと思っているんですが、その難しさに直面しています。患者さんが何を望んでいて、その思いにどれだけ応えられているだろうか、と。
本間 今、病院に求められている課題は安全、安心と倫理問題です。腎移植の問題が社会問題になっていますが、「人間の尊厳とは何か」を常に考えながら医療をすることが求められています。その辺のことを日常の研修の中で考えてほしい。この間、倫理委員会でも公開講座や事例検討会を行っていますが、ホームレスの人をどうみるか、あるいは尊厳死とはどういうことかなど、生死にを常に考える医師になってほしいと思います。
一つひとつの事例に学んで
司会 看護師さんはどうでしょうか?
大野 学生時代に「患者さんの権利を守る看護」を学んできましたが、実際の現場では、何時までに何をしてと、ずっとルーチンワークしかできません。患者さんが「足が痛いのよ」と言ったら、そばにいてさすってあげるぐらいしたいのに、話も聞いてあげられず、それが一番の悩みです。仕事がもう少し早くできれば、もうちょっとできるのでしょうが。
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| 川村 看護師 |
川村 ぼくも仕事が遅いので、患者さんに「ちょっと待ってもらっていいですか」と言いがちです。先輩と比べると、無駄な動きが多いので、それを減らして、患者さんの訴えを聞いたり生活背景をとらえることに時間を割ければいいなと思います。
志田 現実的には一人で多くの患者さんを担当し、ルーチン業務をこなし、救急も受けながらやっていくので本当に大変だと思います。目標とする看護を患者さん全員に日々提供しようと思ったら難しいですので、まず、一人の患者さんに意識的にかかわって、退院後のケアまでやりきれば、他の患者さんにも応用されていくはずです。去年の12月にプレ看護研をやりましたが、厳しい状況の中で頑張っている感動的なというような事例がたくさん報告されました。そういう事例に学びながら、一人でできないことは集団の力で解決していくことが大切と思います。
1日一つ、何かを得たい
司会 では、今年の抱負をお一人ずつお願いします。
川村 あと数ヶ月で「先輩」と呼ばれる立場になりますので、わからないことは今のうちに先輩に全て聞いておくぐらいの気持ちでやっていきたい。業務をきちんとこなしながら、社会的背景についても後輩に教えられるようになりたいと思います。
大野 もう少しできる仕事の幅を増やしていって、自分が看護学校で学んだことを少しでも実践できるようにしていきたい。
耒住 まだ病院にとって戦力の「せ」の字にもなっていないので、力をつけて役に立てるように、引き続き努力していきたいです。個人的には、片道30分走って通勤しているので、それを続けていきたい。
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| 宮田 研修医師 |
宮田 1日1日を大切にしていきたい。少し流されているところもありますので、今年は1日一つ、何かを得ていきたい。
梨木 基本的な力をつけていきたいですね。宮田先生と同じように1日1日を大切にして、患者さん一人ひとりを大事に診させていただきたいと思います。
新人へのエール
司会 それでは最後に、大先輩のお二人から新人へのエールを。
志田 本当に厳しい医療情勢ですが、みんなで支えあいながらいい看護をしていきたい。厳しいからこそ民医連医療を一緒に担う仲間を増やす活動が必要です。医療、看護の質の面でも、高いものを求められて悩むことも多いと思いますが、勉強会などで、共に育ちあっていきたいと思います。
本間 厳しい現実の中で「とてもやっていられない」と、看護師も医師も途中で民医連をやめる人が増えていますが、東葛病院は、支えあいながら、勉強しあいながら、みんなで育っていくことを大事にしています。それこそ「学校」という視点で、みんなで成長しあっていきたいと考えています。
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