中高年男性に多い鼠径ヘルニア
年間40〜50件の手術
東葛病院の医療 外科
東葛病院の外科では、小さな切創治療から腹腔内臓器の癌治療を含む多くの治療・手術を行っています。外科医師は麻酔科医師・看護師との緊密な連携で、より安全で患者様に負担の少ない治療法を探求しています。手術用の関連機材も次々と新たな素材が開発され、術後の回復を向上させる事ができるようになっています。
今回は、中高年男性に多い「鼠径ヘルニア」治療の現状について報告します。
外科医師 岸野亜紀子 鼠径ヘルニア
 |
非吸収性ヘルニア・胸壁・腹壁用綴材
(1)プラグ本体(2)オンレイパッチ(3)ペタル |
「鼠径」とは太ももの付け根の部分を指し、「ヘルニア【hernia】」とは体内の臓器が、あるべき部位からはみだした状態をいいます。
「鼠径ヘルニア」とはお腹の中の臓器(主に腸の一部)が、鼠径部の腹壁の弱いところから腹膜に包まれたまま、お腹の外に出てくる病気です。一般に「脱腸」と呼ばれているものです。
子供の病気としてもみられますが、子供の場合原因は先天的なものであり、大人に起こる場合は加齢により体の組織が弱くなるために起こることが多く、中高年の男性に多くみられます。
最初のころは、お腹に力を入れた時や立っている時に足の付け根が膨らむ症状が出ます。手で押したり、体を横にすることで引っ込みます。便秘や痛みを伴うこともあります。また、大きくなって来ると陰嚢に達することもあります。
こんな時はすぐに受診を
膨らみが押さえても引っ込まなくなり、固くなったり、痛みを伴うようになった時には緊急で病院を受診してください。これはヘルニアの嵌頓(かんとん)といわれる状態で、ヘルニアとしてでている腸がお腹の中に戻らなくなってしまう状態です。(下図参照)すぐにお腹の中に戻さないと、腸が締め付けられる事で腸閉塞になったり、腸が腐ってしまい腹膜炎になってしまったりするため緊急手術が必要になります。
新素材採用と適切な治療
嵌頓をおこさなければ命にかかわる病気ではありませんが、治療となると手術しかありません。当院では1時間くらいの手術で麻酔は下半身麻酔で行うことが多く、4〜9日間の入院期間で治療をしています。術後は翌日からは普通に歩行することができ、3週間ほどで軽い運動ができるようになります。抜糸は術後約1週間です。
以前は自分の身体の強い組織を使い弱いところを補強する手術が行われていましたが、現在では人工補強剤としてポリプロピレンでできたメッシュを使う手術が普及しています。この方法によって術後の突っ張り感が少なく、再発も起こりにくくなっています。
当院では年間40〜50件の鼠径ヘルニア手術を行っています。鼠径ヘルニアが疑われるときには外科外来までご相談ください。 |