東葛病院の医療 小児科
各科の壁をなくした 「東葛病院方式」 時代と地域の要請に応える小児救急医療を
政府の劣悪な医療政策のもとで、医師・看護師の絶対数の不足が社会的問題となっています。特に産科・小児科医療に携わる医師不足は深刻で、政府も一部認めざるを得ない過酷な勤務実態があり、一刻も早い抜本的改善が必要です。そのような中にあって、東葛病院では医師間協力によって独自の救急対応体制をとり、小児救急への対応を行っています。
小児科 科長 伊東 繁
増加する小児救急患者数
図1のグラフをご覧下さい。2002年から5年間の東葛病院救急外来への小児の救急車搬入人数です。同年に小児科の常勤医師体制が確立し、小児科病棟も機能しはじめました。その後の小児救急患者数の増加が示されています。
東葛病院の診療方式の特徴 小児科の常勤医師は三人で、夜間・休日に当直をしているのは一人だけです。ですから、時間外に受診される小児の大部分は小児科以外の医師が診療にあたっているのです。
東葛病院の救急外来の診療の特徴は、患者様の受診時点では、科にこだわらず、重症度にもこだわらず、担当医師がトリアージ(緊急度・重症度による搬送・治療の順位づけ)を行い、診療の道筋をつけて治療にあたっていることです。重症の場合、受診直後に後方の第三次施設に転送になることもありますし、東葛病院に入院になることもあります。この方式は、欧米で主流になっているER(緊急治療室)方式に近く、各科の壁をなくした合理的な方式です。
大事な小児科医のかかわり
小児科医以外が小児の診療を行う場合、それだけでは小児救急医療を支障なく円滑に進めることはできません。
小児科医は、毎日、救急外来の診療記録を点検し必要なコメントを記載して当直医に返します。また、いつでも連絡がとれ、当直医の必要に応じて電話で、あるいは直接病院に出向してアドバイス・診療を行います。さらに、絶えず小児救急医療の学習会を行い、病院全体の小児医療の知識と技術の向上に努めています。このような小児科医の支援があって、小児救急医療が支障なく行われているのです。
救急外来では平均して毎日10人以上の小児の診療が行われています(図2)。全体の80%は流山市の居住者です(図3)。
小児救急医療の崩壊の中で
全国的に、小児科医不足のために小児救急医療体制維持が困難となり、住民の不安がつのっています。小児科だけではなく、医師全体の数が足りないのが現状です。日本の医師数はOECD(経済協力開発機構)の平均と比較して人口あたりおよそ12万人の不足です。医師不足のため救急指定を返上する病院が続出しているという報道もあります。
しかし、視点を変えて見ると、小児の救急医療で、どうしても小児科医が関わりあう必要のある部分は必ずしも多くありません。多くの部分はある程度の小児科研修が行われていれば小児科医以外でも担えます。このことは、小児科専門医だけで小児救急医療を行っている他の施設でも同様の事情です。
これまでの東葛病院での救急医療を振り返ってみて、小児疾患に限らず、東葛病院方式の救急医療が、時代と地域の要請にも応えるものであるということが言えます。 |