東葛病院 地域に根ざしてともに歩む
 
東葛の健康

No.274 2007年5月号

検査結果
3人に一人がポリープ、30人に一人が大腸がん
大腸内視鏡検査を受け手遅れをなくそう

 2006年度に流山市が実施した大腸がん検診のうち、内視鏡など精密検査が543人に行われました。東葛病院では約1/3にあたる174人に検査を行いました。そして174人中52人を大腸ポリープ、6人を大腸がんと診断しました。3人に1人ポリープがあり、30人に1人大腸がんがあることになります。精密検査の結果、当院で36人に内視鏡的ポリープ切除術と5人の大腸がん手術を行いました。

診療部副部長・日向 眞

年間1000人の内視鏡検査

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内視鏡を操作する日向医師

 東葛病院は流山市の検診も含め、6人の内視鏡医師で年間1000人の大腸内視鏡検査を行っています。もちろん、安全で確実な大腸内視鏡検査を心がけています。
 通常は検査当日に外来で腸管洗浄剤を服用してもらいますが、便秘が強い方や高齢の方には、事前に入院して下剤を飲んでいただき、検査前の処置を行っています。
 ポリープをとった方にも、安全のために一泊していただいています。
 内視鏡検査がつらい方には、鎮静剤を使用しますが、合併症が起きないかどうか、よく観察させていただいています。

確かな診断と最適な治療を

 内視鏡検査でポリープが確認されたら、5_b以上のものを中心に、内視鏡切除術を行っています。切除したポリープは、さらに病理検査を行い、がんが含まれていないかどうか、確実に切除されているかどうか調べます。
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大腸造影のエックス線写真。内視鏡検査で見つけたがんを矢印の部位に確認
 がんが認められた場合には、部位はどこか、深達度はどうか、転移していないか、他の病気がないかを調べてから、どういう治療方法が最適なのか、内科医、外科医で検討し、その後に必要な治療を行います。

手術から退院まで    

〜症例を通して〜
 具体的な例を紹介します。
 60代の男性です。下行結腸に全周が狭くなっている部分を内視鏡検査で見つけました。すぐにバリウムを注入する下部消化管造影検査を行いました。内視鏡で確認した位置に約3abの狭くなった部位を見つけました。一部をとって組織検査を実施、がんの細胞を確認しました。すぐに入院していただいて、さらに精密検査を行ってから、外科で手術を行いました。
 入院してから約20日、手術をしてから11日で退院となりました。このようにスムーズに検査治療が行えたのは、内科・外科のチームワークがよいからだと考えています。

約45%が精密検査を未了か

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大腸の内視鏡検査でがんを発見した

 皆さんに知っていただきたいことがあります。実は昨年度の流山市の大腸がん検診(第一次検診=便潜血)は、総受診者数が9104人でした(3月末現在)。第一次検査の結果、精密検査が必要と診断された方は984人。そのうち流山市に精密検査を実施したと報告された人は、543人でした。とすると、441人の方が精密検査をされていない可能性があります。

必ず精密検査を受けましょう     

 30人に1人が大腸がんと考えると、約14人の方が大腸がんであるかもしれません。大腸ポリープは3人に1人と考えると、計算上は140人にもなります。ぜひ大腸内視鏡検査を受けていただき、大腸がんで手遅れの方をなくしたいものです。



希望を胸に新人31人が入職

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病院の玄関前に勢揃いした31人の新入職員=4月3日

 研修医1人、看護師17人、臨床検査技師2人、診療放射線技師1人、理学療法士5人、作業療法士3人、ソーシャルケースワーカー1人、介護福祉士1人、計31人の入職です。
 新入職員研修の初日、本間章院長が東葛病院の「医療の特徴と課題」についてとする、星野幸治事務次長が「地域の人々との共同と歴史」について講義を行いました。
 研修医の石原智恵さんは「差額ベッド料がないってすごい。格差社会を乗り越えていく医療版をみた思いです。地域医療に興味があるので、研修中も患者様と積極的に話しをしたい」と意欲をのぞかせていました。



大募集

看護師・准看護師・介護福祉士・検査技師(内視鏡・採血業務担当)スタッフ

回復期 リハビリ病棟 7月オープン!(予定)

*再就職支援職場復帰プログラムで安心して勤務できます*夜間、日祭日保育体制あり*条件にあわせた勤務可*勤務・待遇等病院規定で処遇*希望者は電話の上、履歴書持参でご来院ください。
連絡先 TEL 04-7158-9238〈担当 志田〉
医療法人財団 東京勤労者医療会 東葛病院
〒 270-0174 千葉県流山市下花輪40


PSA検査を用いた前立腺がん検診の受診を
前立腺がん検診結果説明会
50歳を過ぎたら、前立腺がんの危険年齢

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 前立腺は、膀胱の下にある男性特有の臓器で、精液の一部を作る働きをします。最近著名人が前立腺がんの手術を受けた事などが報道され、社会的にも関心が高まっています。しかし、前立腺がんを早期に発見するための検査「PSA検査* 」についてはまだまだ知られていません。前立腺がんも他のがんと同様に早期発見・治療により治る確率が高くなると言われています。泌尿器科科長・小澤雅史

 東葛病院では毎年2月、独自に検診を行っています。今年は50代からの391名の方が受診しました。
 3月13日の検診結果説明会には昨年を大きくうわまわる86名が参加されました。
 泌尿器科々長の小澤雅史医師は「C判定者(前立腺がん疑い)は全体の8%で昨年度(7%)をやや上回った」と結果を以下のように報告しました。
【PSA検査判定結果】
・異常なし↓
 182人(47%)
・前立腺肥大症疑い↓
 177人(45%)
・前立腺がんの疑い↓
 32人(8%)
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スライドを使った検診結果説明会=3月13日
 そして、前立腺がんの診断方法におけるPSA検査の優位点とその必要性について詳細に説明。
 参加者からは、前立腺肥大症とがんとの関係や排尿障害に対する対処法・薬物治療などについて多数の質問が出されました。小澤医師は「肥大症そのものは怖いものではなく、年齢や日常生活における障害の程度など症状重視で治療をすればよいでしょう」「排尿の回数が多いのは、尿道・膀胱への物理的圧迫や過敏状態など多彩な原因が考えられます。いずれにしても、さらに詳しい検査をしてその原因をつきとめる事が大切です」と、一つひとつ丁寧に答えました。
 まとめとして「50歳を過ぎたら、前立腺がんの危険年齢です。
 尿についての悩みのある人はもちろん、症状のまったくない人もPSA検査を用いた前立腺がん検診の受診をお勧めします」と強調しました。
*PSA(前立腺特異抗原)検査
PSA=前立腺がんになると血液中に特殊な蛋白質などが増えるが、その物質のこと。血液を採取して調べる。前立腺肥大症でも値が高くなることもある。


シリーズけんさ(19)
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睡眠時無呼吸症候群の簡易検査

 新幹線運転手の事件をきっかけに知られるようになった睡眠時無呼吸症候群。症状は昼間の強い眠気や居眠りの繰り返し。朝起きた時の熟睡感のなさ、睡眠中のいびき等があります。
 もっとも多い原因は寝ているとき喉の一部が下がり、空気が肺に十分に行かず血液中の酸素が足りなくなるため、脳が一瞬起きてしまう状態が一晩で何度も起きるためです。
 この睡眠時無呼吸症候群の簡易検査で、当院で使用しているのがモルフェイスと言う名前の機器です。この検査は夜寝る前に指に血液中の酸素濃度を計るセンサーと、鼻に呼吸の具合を観るカニューレを装着して寝ます。この検査で睡眠時無呼吸が有るか無いかを区別する事が出来ます。いびきがひどい方や眠りの浅い方は医師と相談して、一度受けてみてはいかがですか。

検査技師・佐々木直衛



訪問看護日誌から

柏豊四季訪問看護ステーション

住み慣れた自宅で人生を全うしたい

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患者宅を訪問中の野口所長

 一人暮らしが長くなり、多くのことを他人の手にゆだねることになっても、住み慣れた我が家での暮らしを続けたいと願い独居を続けてきたMさん。2月の中旬92歳の誕生日を目前にMさんは息子さん夫婦・お孫さんたちに見守られ息を引き取られました。
 一人息子さんは地方から週末介護を続け平日はヘルパーさんが1日3回入り日常生活を支えました。出産後に腎不全を患い、約60年塩分・水分制限の食事でした。体調を崩し入院をすることもありました。
 退院後約1年程の食生活を支えてきたのはヘルパーさん達です。病院で栄養指導を聞き、1つ1つの食事を量り、塩出し・野菜の茹でこぼしなどを指導され、ご本人の希望である色よく2品以上の副食など細かな要求を組み入れ援助していました。食・排泄・リハビリに対するこだわりを持っていたMさん。体をふくときも「乾いたのでよーくふいとくれ、そう…そう…もう少し熱くしっかり絞って」。あるヘルパーさんはエステのような清拭を表現していたほど細やかなケアを要望されました。
 いよいよ、ベッドの生活を余儀なくされ、徐々に体力・気力とも落ち始め、椅子に座って食事を取れなくなり、ポータブルからオムツになり、褥創ができ、少しづつ衰弱していきました。往診の医師・ヘルパー・訪問看護・ケアマネ・息子さんで話し合い、緊急時の対策を練り在宅で看取ることにしました。
 刻々と変化する状況を共有しながらMさんの最期をご自宅で看取ることが出来ました。 所長・野口直美



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クスリ あ・れ・こ・れ

「しまいには、ひとりで」

最終講義で学生にエールを贈る

薬局長 藤井基博

 看護師の国家試験前に最終講義で、学生にエールを贈りました。

 「迷うことに、人生を切り開く力がある」10分ほど時間をいただきました。予想以上に心に受け止めていただけたようで、何人かの学生たちから励みになった、とお礼をいわれました。わたしもうれしくなりました。
 エールのひとつの話題は、大リーグのイチロー選手。彼が素振りにひたすらこだわるのはなぜか? 王道に近道はなく、執着心MAXで基本を体にしみつけるため。勉強、スポーツ以外に、生活の基本も大切と思います。礼儀正しく、姿勢よく、時間は守る。なかなか困難です。
 そして、人生の三大選択=「どこに住むか、何をするか、だれとするか」を決めることは、さらにタイヘン。
 病気を受け入れることも同じ。病気をうけいれる困難さと不安、矛盾、未練さがいっぱいつまった状態のまま、体の調子は悪くなる。多くの人との出会い、家族のこと、社会のこと、すべてを頭にうかべながら、自分はどうするのか?、悩む。薬が効くのか?、副作用は大丈夫か? 以前より情報は整理されつつありますが、個人への効き具合や副作用は、投与してみないとわからない。
 医師や人の意見は聞くけれども、しまいにはひとりで決めなきゃならない。人生の選択、医療の選択。迷いのなか、この「しまいには、ひとりで」決めたことが、その人の生きてきた足跡になる。

 春もすぎました。みなさま、いかがお過ごしですか?



聴診器

医師不足を訴える

 前にこのコーナーで紹介した、済生会栗橋病院の本田宏先生のお話を生で聞いてきました。
 医療ミスの背景にある医師不足、医師の過労死の問題、養成数が圧倒的に少ない現状などを詳細に解明。そして医療制度改悪とも関連しているといわれる、増え続ける民間保険とその甘い罠。関係行政などからも流される諸外国との医療従事者数比較のトリック。医療関係者が声を上げることの重要性などなど、ユーモアを交えながらの熱演に、目からウロコの2時間でした。
 NHKのテレビで医師不足問題をズバリ指摘して以降、色々な方面から圧力がかけられているようで、「僕にもしものことがあったら、皆さんが語る側になって下さい」とまでおっしゃっていました。
 著名な病院の副院長の肩書きを持ちつつ、政府行政と闘う姿に感服しながらも、とにかく健康にだけは気をつけてください、と心から思いました。(清田弘美)



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ぶらり・とうかつ

屋敷神と信仰[3]

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草に埋もれた道祖神
― 流山市 ―

 確かに、宗教の発生という観点から見れば、人間の死や自然災害が大きな要因であることは否定できない。悪く言えば、それをネタに仏教やキリスト教など諸々の宗教が生まれたことなのだから。然し、それは人類の発生という億年の歴史からみれば「後生」のことに過ぎない。天地自然を「カミ」として崇め祈った人間は「浄土」や「天国」を求めていたのではない。というのが前項で述べた「民族の魂」なのである。神棚と仏壇に手を合わせ、子供をキリスト教の学校に送り出すのを不思議と感じないのが平均的な日本人の実像である。この状況を前章で引用の梶村教授は「奇妙ではあるが、日本人に信仰心が無い訳では無い」「国家や民族の生い立ちの中に三つ子の魂があり、それが遺伝子として私たちの中にある」と言う。太陽や諸々の自然にカミを見いだし、祖先の霊魂を崇めた私たちの祖先が国を造り民族を形成した、その三つ子の魂が私たちの深奥に根付いていると、ということだろうか。
 2007年、いま、「千の風に乗って」という歌がブームを呼んでいる。6月2日、友の会総会(於・看護学校)で合唱団フレンズがご披露する。亡くなった人も今や墓の下ではなく「天国」や「浄土」でもなく、風や星になって私たちの身近にいる、というテーマが、身近な人の死が日常の暮らしの中で、明るく生きようとしている今の人達の心を打つのだろうか。
 それとも「三つ子の魂」のなせる業なのかとも思う。(田)




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