アスベスト精密検査、職業性肺疾患への取り組み
じん肺、肺がんの早期発見につながった
東葛病院では、2005年度から、千葉土建一般労働組合とタイアップして、健康診断で撮ったX線胸部正面写真を職業性肺疾患の専門医が再読影し、異常所見を認めた例について、胸部のコンピューター断層検査(CT検査)といった精密検査を勧めてきました。2005年から合計181例の方が検査を受け、半数にアスベスト関連の所見が認められ、2名がじん肺の認定を受け、2名に健康管理手帳が交付されました。また、アスベスト肺がんでの労災申請も3名に認められ、着々と成果をあげていますのでその活動の一端を紹介します。 副院長(呼吸器外科) 川村光夫
CT検査181名中90名に異常所見

胸膜肥厚斑の術中写真と胸部CT像

今回の検診で発見された肺がんのCT像
健康診断で撮った胸部正面写真を職業性肺疾患の専門医が再読影し、異常所見を認めた例については、胸部CT検査といった精密検査を行ってきました。2005年と2006年の2年間で、合計181例の方が来院され、胸部CT検査が行われました。これを当院の呼吸器専門医が国際分類に従い読影し、即日結果を説明しました。
その結果、アスベスト暴露により胸膜が部分的に厚くなる胸膜肥厚斑や石綿肺(アスベストによるじん肺のことをいいます)などの所見が認められたのは90名と約半数に上りました。
また、2006年には胸部CT検査で小型の肺がん(腺がん)が発見され、呼吸器外科にて根治切除手術を受け、胸膜肥厚斑と職歴から労災認定を申請中の患者さんもいます。
9名がじん肺申請
現在、じん肺申請は申請中を含めて9名で、うち2名がじん肺の認定を受けました。また、じん肺とは認められなかったものの「健康管理手帳」の交付を受けた方が2名いました。
健康管理手帳とは、アスベストに暴露されたことを公的に認めたもので、今後合併症が出現したときには労災認定となる有力な証拠になります。
2名が石綿肺がんで労災認定うける
また、肺がん手術の際に、アスベストによる胸膜肥厚斑が偶然に見つかる場合も少なくなく、その場合は、10年以上のアスベスト関連の職歴があれば労災認定の手続きをお勧めしていますが、2名の患者さんがアスベストによる肺がんとの労災認定をうけました。
また、一人親方で労災に未加入のため申請できなかった肺がんの患者さんは、昨年アスベスト救済新法が制定されたことにより、切除肺組織のアスベスト小体の数の検査を専門の労災病院に依頼し、大量のアスベスト小体を認めたことからアスベスト肺がんと認められました。
こういった成果は、実際の読影や手術を行った診療部門(呼吸器科)のみならず、検診の実務を担った検診センター、じん肺や労災申請の手続きを援助してくれた相談室、日曜日に集中的にCT検査を行ってくれた放射線科などの協力によるものです。

「じん肺アスベスト患者と家族の会」の結成
総会であいさつする小菅会長(写真中央)
「じん肺アスベスト患者と家族の会」を結成
今年の4月に千葉土建は「じん肺アスベスト患者と家族の会」を結成し、当院で手術を受けアスベスト肺がんの労災認定を受けた小菅洋一さん(松戸市)が、会長に就任されました。結成総会で小菅さんは「健診が大切、早期発見、早期治療です」とあいさつ。
今後、じん肺による健康障害を受けた患者さんとその家族の相互交流と激励しあえる場として期待され、地域を含めた運動が進んでいます。 |