東葛病院 地域に根ざしてともに歩む
 

東葛の健康

No.281 2007年12月号

東葛病院の医療 糖尿病診療

糖尿病の良薬は食事療法

 東葛病院で糖尿病診療にかかわるようになって15年経ちます。血糖値が高いからと何度となく入院してきた60歳代の方が、80歳を越えた頃から正常値に近づいてくる。そして内服薬がいらなくなったり、インスリン注射の必要がなくなったりするという多くの事実があります。80歳代になると自然の摂理も手伝って、コントロールが良くなると考えられます。今60歳代、70歳代で減量がうまくいかず、血糖値が下がらなくて困っている方も、まずは80歳を目指して下さい。

内科医師 吉川智子

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「東葛健康友の会」の保健学校で、糖尿病に ついて
講義をする吉川智子医師


 ところで今回は、私たちが築いてきた東葛病院の2型糖尿病治療の特色を三つお話します。これらを大事にして80代を迎えていただきたいと思います。
 特色の一つは、食事療法による体重の減量。二つは、安全、少量の内服(経口血糖降下剤)治療、三つは、多種多様な療養教育です。

その1
食事療法による体重の減量

 これを治療の基本にしています。言い換えると薬物療法で手っ取り早く血糖値を押さえ込もうとしていないということです。
 内服治療の方が楽に血糖値が下がると考える方もあるでしょうが、食べ過ぎれば細胞に栄養が多く蓄えられてしまい、自分のインスリンが十分に出ているのに細胞内に糖を取り込めなくなります。結果として血糖値が上がるのです。
 ですから余分に蓄えてしまった栄養をそぎ落とすことが何より大切なのです。20歳ごろの体重と比べて今のほうが重ければ、減量の必要があります。
 食事療法をすれば、高脂血症、高血圧症、腎臓病など糖尿病以外の病気の治療も兼ねたことにもなります。

その2
安全、少量の内服治療

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地域で開かれた食事療法のための調理教室。

 どうしても薬物療法が必要な場合は、安全な薬を、少量で治療するよう心がけています。次々と新しい内服薬が発売されますが、あくまで補助の補助と考えています。
 内服治療の方が科学的で最新の治療を受けている感じがする方もあるでしょうが、その前にするべきことを(丸々とした細胞の中の栄養をまず消費)してから考えることです。
 実は安価な薬を少量使うということは、経営としては厳しいことなのです。これは笑うに笑えない話です。それでも糖尿病診療では安全・安価・少量の内服治療を貫いてきました。

その3
多種多様の療養教育の実施

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上下の写真とも中央が東葛病院の管理栄養士

 医師による診療時の教育、管理栄養士による指導、看護師との総合学習、薬剤師による説明、患者会・友の会班会での学習等を重視しています。
 教育や指導、説明においては、内容が形式に流されない、臨機応変である、患者の努力を評価することを忘れない、そして的確な課題を指摘することを大事にしてきました。
しかし、教育、指導、相談の諸活動は、いくらやっても栄養指導以外は保険診療では点数化されていないのです。
 私はこうした活動にも保険点数化がなされるべきだと考えます。それにより、糖尿病が軽症に抑えられれば、全体としては医療費支出を大きく抑えることにつながります。

体重を落とすことが大切

 最後に、体重を落とすことが血糖値の改善につながることを証明してくれた例を紹介します。食事療法こそ最善の治療であることに確信を持っていただきたいと思います。
 10年来、理想体重を上回っていた方が、内服治療ではいよいよ血糖コントロールがつかない状態で来院され、10日間入院していただくことになりました。
 毎日1600キロカロリーの食事療法と少しの運動療法(散歩)とにより、3キログラム体重を落としました。
 内服は変更せずに血糖値は良好となりました。「食事療法は良く効く、何より良い治療」ということがお互いの確信になりました。



楽しく過ごして心もからだもリフレッシュ

通所リハビリ「えがお」で仮装まつり

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通所リハビリ「えがお」の仮装まつり。職員も麗人や町
娘、喫茶店のメイド役になりきって……拍手喝采でした

 通所リハビリテーションは、介護認定を受けた方が、自立した日常生活を送ることができるように、理学療法・作業療法・言語療法などのサービスを提供するところです。東葛病院の通所リハビリテーション「えがお」では、利用される一人ひとりの症状をふまえて、筋力トレーニングや脳活性ゲーム、音楽療法、趣味などのプログラムを組んでいます。その他にボランティアの方々の協力も得て、季節ごとの行事を開くなど、一日を無理なく楽しく過ごしていただけるように、創意工夫を重ねています。

 10月31日は「仮装まつり」を行いました。この日の利用者は30数人。会場の中央には張子の大木が設えられています。枝にハローウィンをまねたお化けカボチャやヒョウタンがなって、祭りの雰囲気を盛り上げています。オープニングはピンクのドレスをまとった女装姿と、セーラー服に三つ編みの職員。二人が登場すると、滑稽な装いに早くも会場は爆笑。タンバリンや鈴を打ち鳴らして大喜びです。次は利用者の扮する新撰組一座。揃いのはっぴとかすり着物の町娘が入場。赤い色紙を貼った頬がさらに紅潮しています。
 詰襟と女学生の卒業式の場面では「どんな学生時代でしたか」との問いに、「いつも遅刻していました。世の中もゆっくり歩いてきた」と、しんみりと語っていました。愛染かつらの想定では、白衣を着て「わたし高石かつ枝よ」と、往年の大女優になりきったセリフに、また大笑い。台本なのか即興なのか区別が付かないほど、みんな役柄に夢中です。水戸黄門や銭形平次、喫茶店のメイド役など、次々に全9幕が披露されました。
 職員は「仮装まつりは初めての試みです。準備に1週間ほど。利用者様が予想以上にのってくれました」とほっとした様子。利用者と職員、ボランティアが一体となって、楽しい「えがお」にしていきたい、そんな思いのひと時でした。



シリーズけんさ(26)

運動神経伝導速度と知覚神経伝導速度について

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MCVとSCV検査中の筆者

 運動神経伝導速度(MCV)と知覚神経伝導速度(SCV)についてお話したいと思います。聞いたことのない言葉だと思いますが、刺激が手足の神経の中を伝わる速さを測定する検査です。
 糖尿病で自覚のないうちに神経が障害されていないかどうかを調べます。手や足に力が入らない場合やしびれがある場合にも検査をします。
 皮膚の上から神経を電気で刺激すると、その神経に支配されている筋肉がピクッ、ピクッと動きます。この時に出てくる波形を記録して調べます。刺激の感じ方には個人差がありますが、神経を刺激しても体への影響はないので心配ありません。
 当院の検査日は2週間に1回。1人45分ほどかかります(刺激する神経の数が多い場合は、90分)。予約検査になります。
検査技師・大谷由香里



歯科コーナー 知ってました?

口内を清潔に保つために

1本で2役タイプの歯ブラシを採用しました

歯科衛生士 荒田直子

写真 最近は色々な歯ブラシが出まわり、どれを選んだらよいのか迷っている方が多いと思われます。歯科医院で置いてある歯ブラシには、ヘッドがコンパクトで磨く面は平らなものが多いようです。
 東葛歯科で新しく採用したタイプは、形状が工夫されていて、これまでの歯ブラシでは届きにくかった場所にも、毛先が届きやすい形となっています。今回はそのタイプについてお話します。
 歯を磨く時、特に気をつけて毛先を当てるべきところは、歯と歯の間、歯と歯肉の境目です。一般的にその場所に歯ブラシを当てようと思うと、歯ブラシの向きを変え細かく動かしてと、操作が難しいものです。歯と歯の隙間が大きいなど、歯ブラシだけでは磨きにくいところには、一歯用ブラシや歯間ブラシなどを使ってもらったり、道具が多くなります。
 今回新しく採用したものは「歯ブラシ」+「一歯用ブラシ」が一つになったタイプです。大きな特徴としては
(1) 歯ブラシのつま先が、一番奥の歯の裏面に入りやすいように突き出した形になっている事(図1)
(2) 歯と歯肉の境目と、歯と歯の間の奥まで当たるように、毛先が段差植毛になっている(図2)
(3) 持ち手の形状が、奥歯を磨く時でも、まっすぐになるように工夫されている
が、あげられます。
 最初は歯ブラシをどう当てるか、難しいと思います。歯ブラシに限らず、初めて使う口の中の清掃用具は歯科医師、歯科衛生士に使い方を聞いて下さい。そうすれば効果的に簡単にプラーク(歯垢)を落とすことができるでしょう。

図



聴診器

ホームレス中学生

▼話題のお笑い芸人、麒麟の田村氏のエッセイである▼母の死、父の病気、家族の「カイサン」、ホームレス生活、友人の家族に救われて一命を取り留める、高校での活躍と自立までの道のりが淡々とかかれている。しかし、カツアゲ・万引きはしない、お母さんが見ている、そのけなげさに涙し、身の不幸を嘆くよりも自分を捨てた父に同情し、友や兄弟の心配をする姿にとても共感が湧く▼一杯のご飯を1時間かみ合って食べる生活、友人とのつきあいや兄弟の仲違いなどもリアルに描かれている▼やはり、特筆すべきは裕福だった田村家を奈落の底に追い込んだ元凶。それは病気だったことだ。母の直腸癌と父の闘病後の解雇、鬱病によると思われる体調の変化、まじめで不器用な男の家族への仕打ち、全てがつながっている。命と暮らしを守るという私たちの仕事の大切さをあらためて感じた▼生活保護をうち切られることがどんなに大変なことか、それが命をつないでいることであるのかを分からせてくれる。まじめに生きるだけでは幸せな生活が維持できない場合もある、と考えさせられた。
清田弘美



「後期高齢者医療制度撤回せよ」の声各地で

 第3長生会の会合で学習

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第3長生会・宮下会長

 11月8日、流山北部に位置する第3長生会(会員46人を有する老人会)が、東深井自冶会館にて定例の会合を開催。この日のテーマは「後期高齢者医療制度」。東葛病院の山縣良一事務職員がパンフレットを使って説明しました。
 説明を聞いた参加者からは「こんなでたらめな制度は、だれが何のためにつくったのだ!」「戦後、物の無い時代をのり越え、今日の日本をつくって来た老人に早く死ね、と言うのか!」などなど、怒りの質問や意見が次々に飛び交います。
 会員の年齢が高くなり外出もままならなくなる。趣味の多様化により新しい会員が集まらない。など、多くの問題を抱えながら会を運営している宮下一郎会長は「今まで医療制度と言うと非常に難しく、なかなか理解できなかったが、今日の話はわかり易かった。いくら国に金が無いからといって、やりかたがムチャクチャだ。我々はわずかな年金だけで生活している。それなのに今度の医療制度では保険料を上げる、入院日数は短くする、これではもう黙っていられない。署名をあつめる」と怒りをあらわにしていました。
 周辺各地ですでに10回ほど後期高齢者医療制度の問題について学習会が開かれ、職員が講師を務めています。

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地域に出かけ署名をお願いする職員=11月21日
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職員が地域を訪問して宣伝と署名

 11月21日、東葛病院では地域訪問を行い、46名の職員が「後期高齢者医療制度の撤回を求める署名」と、友の会会員増やしにとりくみました。同時にハンドマイクを使って宣伝も行いました。
 「時々テレビで『高齢者医療制度は凍結の動き』と聞いていたが、まだ決まったわけではないのですね」という人や、「4月からそんな制度が始まるなんて、聞いたこともなかった」という人が結構いて、後期高齢者医療制度自体が、国民の知らない間に実施されようとしている事がうきぼりになってきました。
 この日は結構留守も多い状況でしたが、そうしたなか対話を進め62筆の署名を集め、ご家族様にもと、署名用紙を配布してきました。



東葛病院・付属診療所の医療活動



ぶらり・とうかつ(142)

前方後円墳

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鰭ヶ崎の通称三本松にたつ古家碑

 老人が1人で留守番をしていると、掛かってくる電話の大半は「お墓を買わないか」である。飲み屋で隣り合わせの客の話「250万円で」「墓石つきで600万円で」買った、とやや優位の表情。さて、今回は大昔どうだったのかの話。
 西暦600年から700年にかけて各地に巨大な墳墓が造られる、古墳時代と呼ばれる時期があった。勿論、一般人のものでは無く、その時代の豪族、族長のものであった。
 流山市の東深井、野田市の岩名などにある古墳、がそれである。死んでまで己の威容を示そうとの執念である。200万や600万円の問題では無い。それらは円墳(丸い形)方墳(4角)と呼ばれ、岩名古墳は前者にあたる。前方後円墳とはその両方を組み合わせたもので東葛地方では希少。鰭ヶ崎の通称三本松と呼ばれる高台にそれが有った。
 鰭ヶ崎駅から7、8分、曲がりくねった急坂を登りつめた右側。全長25b、前方(4角の部分)8b。後円は円周18bとある。古墳からは円筒埴輪、人物埴輪が発掘されている。狭い道を行くと、4角の平面に出る。4方は切り立つ断崖である。数万年前なら海を見下ろす名勝だったろう。正面にかなり長文の石碑があり、文字が刻まれているが風化して読めない。解説文によると、これを「古家碑」と言い、文政11年(1828年)に土地の庄屋が建てたもので、碑文の内容は「天明の大飢饉(建てたときから百年ほど前)で飢えた村人が墳墓を掘り起こし、発掘品をお金に変えようとしたので、それを諌め古墳を守った」との記録である。散策がてら見て欲しい史跡である。流山北部の方なら中交差点を真っすぐ南に進み、分岐道を左に降りないで細い道を直進。(田)




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