東葛病院の医療 糖尿病診療
糖尿病の良薬は食事療法
東葛病院で糖尿病診療にかかわるようになって15年経ちます。血糖値が高いからと何度となく入院してきた60歳代の方が、80歳を越えた頃から正常値に近づいてくる。そして内服薬がいらなくなったり、インスリン注射の必要がなくなったりするという多くの事実があります。80歳代になると自然の摂理も手伝って、コントロールが良くなると考えられます。今60歳代、70歳代で減量がうまくいかず、血糖値が下がらなくて困っている方も、まずは80歳を目指して下さい。
内科医師 吉川智子

「東葛健康友の会」の保健学校で、糖尿病に
ついて
講義をする吉川智子医師
ところで今回は、私たちが築いてきた東葛病院の2型糖尿病治療の特色を三つお話します。これらを大事にして80代を迎えていただきたいと思います。
特色の一つは、食事療法による体重の減量。二つは、安全、少量の内服(経口血糖降下剤)治療、三つは、多種多様な療養教育です。
その1
食事療法による体重の減量
これを治療の基本にしています。言い換えると薬物療法で手っ取り早く血糖値を押さえ込もうとしていないということです。
内服治療の方が楽に血糖値が下がると考える方もあるでしょうが、食べ過ぎれば細胞に栄養が多く蓄えられてしまい、自分のインスリンが十分に出ているのに細胞内に糖を取り込めなくなります。結果として血糖値が上がるのです。
ですから余分に蓄えてしまった栄養をそぎ落とすことが何より大切なのです。20歳ごろの体重と比べて今のほうが重ければ、減量の必要があります。
食事療法をすれば、高脂血症、高血圧症、腎臓病など糖尿病以外の病気の治療も兼ねたことにもなります。
その2
安全、少量の内服治療

地域で開かれた食事療法のための調理教室。
どうしても薬物療法が必要な場合は、安全な薬を、少量で治療するよう心がけています。次々と新しい内服薬が発売されますが、あくまで補助の補助と考えています。
内服治療の方が科学的で最新の治療を受けている感じがする方もあるでしょうが、その前にするべきことを(丸々とした細胞の中の栄養をまず消費)してから考えることです。
実は安価な薬を少量使うということは、経営としては厳しいことなのです。これは笑うに笑えない話です。それでも糖尿病診療では安全・安価・少量の内服治療を貫いてきました。
その3
多種多様の療養教育の実施

上下の写真とも中央が東葛病院の管理栄養士
医師による診療時の教育、管理栄養士による指導、看護師との総合学習、薬剤師による説明、患者会・友の会班会での学習等を重視しています。
教育や指導、説明においては、内容が形式に流されない、臨機応変である、患者の努力を評価することを忘れない、そして的確な課題を指摘することを大事にしてきました。
しかし、教育、指導、相談の諸活動は、いくらやっても栄養指導以外は保険診療では点数化されていないのです。
私はこうした活動にも保険点数化がなされるべきだと考えます。それにより、糖尿病が軽症に抑えられれば、全体としては医療費支出を大きく抑えることにつながります。
体重を落とすことが大切
最後に、体重を落とすことが血糖値の改善につながることを証明してくれた例を紹介します。食事療法こそ最善の治療であることに確信を持っていただきたいと思います。
10年来、理想体重を上回っていた方が、内服治療ではいよいよ血糖コントロールがつかない状態で来院され、10日間入院していただくことになりました。
毎日1600キロカロリーの食事療法と少しの運動療法(散歩)とにより、3キログラム体重を落としました。
内服は変更せずに血糖値は良好となりました。「食事療法は良く効く、何より良い治療」ということがお互いの確信になりました。 |