東葛病院 地域に根ざしてともに歩む
 

東葛の健康

No.284 2008年3月号

東葛病院の医療 呼吸器科

原因不明の間質性肺炎について

中高年に多いが、稀な病気

  ―呼吸器の専門医で診療を

 一般に肺炎というと「カゼをこじらせて肺炎になった」というように使われます。カゼはウイルスによって起こり、肺炎は細菌などが気道に入り込んで発病します。これら普通の肺炎とこれからお話する間質性肺炎とは、肺炎という言葉は同じですが、炎症が起きる場所や症状、経過が全く異なり別な病気です。今回、この聞き慣れない「間質性肺炎」についてご説明します。 副院長(呼吸器科)川村光夫

どうしてできますか?

 肺の基本的な仕組みは、「肺胞」という空気の入った小さな風船がいくつも集まったもので、柔らかい風船のゴムにあたる部分を「間質」と呼んでいます。
 この部分に炎症が起きて壊れるとその後治っても筋ばった硬い組織になります。これがさらに進むと、肺全体が硬くなって「肺線維症」と呼ばれる状態になります。
 主に、50歳以上の中高年に多いものの喘息などと比べると稀な病気です。喫煙に関連して起こるものは男性に多く、膠原病に伴って起きる場合は女性に多くみられます。リウマチの薬などでも起こり「薬剤性の間質性肺炎」と呼ばれます。
 また、粉塵を吸入して起こる「じん肺」でも起きます。しかし、原因をいくら探ってもわからない間質性肺炎があり、これを「特発性の間質性肺炎」と呼んで、難病申請の対象になります。

どのような症状がでますか? 

 一般には、たんを伴わないコンコンといった咳がでたり、肺が酸素をとり込めなくなるので、動くと息が切れるようになります。
 指の先の丸く膨らんで、太鼓のばちのような「ばち状指」がみられることもあります。
 胸のレントゲンでは、肺の下半分が曇りガラスで被われたようになり、CTといった輪切りの写真では、主に背中側の肺が白っぽくなり、進行すると蜂の巣のようなって「蜂巣肺」と呼ばれます。このようになれば画像上の診断はさほど困難ではありません。

どんな検査が必要ですか?

 間質性肺炎が疑われた時は、肺機能検査を行い肺活量が減っていないか、血液中の酸素が減っていないかどうかを調べます。
 経過が早く治療が必要な方には、入院して気管支鏡検査などが必要ですが、さほど変化がなくかつ高齢の方は、外来でそのまま経過をみます。
 時に、肺がんを合併することもあるので、定期的に観察して、変化がないかどうかチェックが必要です。ですから、勝手に通院を中断してはいけません。

その後の経過は?

 進行が比較的早く息切れが強い場合は、ステロイドや免疫を抑えるお薬を投与したり、在宅での酸素吸入や肺のリハビリなどを行います。
 一番気をつけなければいけないことは、ちょっとしたカゼや疲れから、急に悪化することがあり「急性増悪」といわれます。その場合、次の外来を待たずに早急に受診して治療を受ける必要があります。

 以上、「間質性肺炎」という肺の病気についてご説明しました。
 治療方針、経過が普通の肺炎とはまったく違うことから、呼吸器の専門医に診てもらうことをお勧めします。

写真
▲進行した状態(左)と正常な状態の肺(右)のCT画像

写真
▲肺がんを併発した70代、女性の間質肺炎

 

 


連載(2)
堂下佐知子の誰でもできるストレッチ体操

2008年 しなやかトレーニングで若返り&ダイエット!

(2)肩こり & 背中のたるみ対策

 今月のテーマは「肩こり&背中のたるみ対策」です。
 ストレッチで大切なことは、反動をつけないで行うこと。ひとつひとつの筋肉をじわーっとゆっくり伸ばし、自分で最大限に伸びたと思ったところで、腰からの深呼吸を8秒くらいかけて4〜5回繰り返します。すると、最大限と思ったところから、さらに筋肉が伸び、関節が弛んで行くのを感じ取れるはずです。(1)〜(3)
 ストレッチができたら(4)(5)でさらにほぐし、(6)で肩を交互に後ろに回しましょう。
 肩を交互に後ろに回す。背中の筋肉を適度に使い、たるみの対策にもなります。

イラスト



シリーズけんさ(27)

肺機能検査(I)

写真
自ら患者さん役で説明する筆者

 今回は東葛病院で行っている2つの肺機能検査についてお話しします。
 この検査では、1・肺活量(肺にどれくらい空気が入るか) 2・努力性肺活量(口から肺までの空気の通り道の太さ)を調べます。
 肺機能検査は、受身の検査ではなく、御自身の最大限の努力によってのみ、真の結果が得られます。と言うのも、息を限界まで吸って、限界まで吐くわけですから、かなり苦しいのですが、苦しいくらいの努力をしないと、検査結果が過小評価となり、本当は肺機能が正常で治療の必要がなくても、治療の対象となってしまいかねません。
 ですから、肺機能検査は努力を要する検査ですが、御自身の肺機能を知る上でとても大切な検査なので、ぜひともがんばっていただきたいと思います。
臨床検査技師・中城栄治



クスリ あ・れ・こ・れ

骨粗鬆症の薬について

薬物療法は食事療法と運動療法の上に成り立つ

薬剤師 岡田まさ子

写真 骨粗鬆症は、骨の代謝が悪くなり、骨がもろくなる病気です。
 骨に含まれるカルシウム等の量(骨量)は、18歳頃をピークに年をとるごとに減ってきます。骨量が減少すると骨の構造が弱くなります。腰痛や背骨の痛みを伴うほか、骨折をしやすくなります。
 骨粗鬆症の薬物療法は、食事療法、運動療法の上に成り立っています。
 つまり食事からカルシウムやビタミンDなどをしっかりとること、運動すること、適度に日光を浴びることなどを行った上で必要に応じて医師が薬を処方することになります。
 また薬を飲んでいても食事や運動に気を使う必要があります。
 現在使われている薬は、以下の三つに大別できます。

「骨の吸収を抑える薬」

 女性ホルモン:閉経後に低下したホルモン補充。カルシトニン製剤:注射薬 背中や腰の痛みをやわらげます。ビスフォスフォネート製剤(ベネット、ボナロンなど):骨量を増加させ骨折を予防します。

「骨の形成を助ける薬」

 ビタミンK2(グラケー):骨量の減少を抑え、骨の形成を助けます。
「吸収と形成を調節する」 活性型ビタミンD製剤(ディーアルファ):腸からのカルシウムの吸収と骨の形成を助けます。カルシウム製剤(アスパラカルシウム、乳酸カルシウム):食事からのカルシウムが十分とれない場合、長期に服用すれば骨量減少の防止になります。
 またビスフォスフォネート製剤は今年1月に顎骨壊死・顎骨骨髄炎の副作用の報告があり、注意が呼びかけられました。
 あごの痛みや腫れ、あごのしびれ感、歯のゆるみなどの症状が現れた場合には、使用をやめて、すぐに医師の診察をうけるようにしてください。



聴診器

責任の重み

 就職前の最後の旅行で、前年に観た古い町並みにもう一度と思い立ち、倉敷美観地区を再訪した。

 倉敷には、町並みとともに日本でもっとも古い西洋美術館など、古きよき時代に思いを馳せるには格好の材料が揃っている。また、旧家屋を利用した現代風の喫茶店など、ある意味では新と旧が絶妙に織り交ぜられている。

 一年前を想い起こしながら町を歩く。当時時間はあり余り、湯水のように使っていた。どこかで自分の時間は「いつでも、いつまでも、自由になる」と思い込んでいた。だが今はそれが制限されている。

 そんなことを考えながら古い町並みを眺めると、よりその町並みが美しく、いとおしいものに思えてくる。目に入るものすべてが何倍もの価値を持って自分に迫ってくる。

 制限が却って時間の価値を高めることに気がつくと、有限の人生を生きる人々の極めて重要な場面でのお手伝いをする、医療福祉という仕事の責任の重さを改めて思う。(C)



東葛病院・付属診療所の医療活動



千葉社保協などが医療シンポジウムを開催

650人が参加

写真
熱気あふれる会場

 千葉県保険医協会や社会保障推進千葉県協議会などで構成する実行委員会の主催で『―医師・看護師増やそう、守ろう地域医療―どうするこれからの医療』と題してシンポジウムが開催されました。
 県看護協会など医療団体や医療機関、自治体の首長からの賛同と期待が寄せられる中650人が参加。当日朝からの雪の降りしきる悪天候にもかかわらず、会場となった千葉県教育会館は熱気に溢れていました。
 午前中は、マイケル・ムーア監督の映画『シッコ』が上映され、アメリカの医療制度の現状と矛盾を問題提起。
 基調講演の日野秀逸氏(東北大学大学院経済学研究科長)は、国の構造改革と財界の狙いを明らかにし、社会保障制度の経済効果に触れながら国民の求める医療制度への展望を示しました。
 シンポジストの一人石川広巳医師(県勤労者医療協会)は「社会保障としての医療・介護を政治がどのように考えて行くかが問題」と指摘。フロアからは看護師や救急隊員など、医療現場や地域での取り組みの報告や、政府・厚労省への批判的発言が相次ぎました。
(星野)



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