東葛病院の医療 救急
搬入される心肺停止患者の蘇生向上めざし
救急隊とホットラインを設置した市内の医療機関
東葛病院救急センターでは、昼夜を問わず救急搬送される心肺停止患者さんの心肺蘇生治療に取り組んでいます。救急センターには救急隊とのホットラインが設置され、救急救命士が現場で行う処置行為に対して医師がリアルタイムで指示をだしています。
今号では、一刻を争う心肺蘇生治療の現状をご紹介いたします。
内科医師・後藤慶太郎
東葛病院救急センターでは、24時間体制で救急患者の対応を行っています。病気や怪我で救急搬送される患者さんの中でも、一刻も早い対応が必要となるのが心肺停止状態の患者さんです。まず最初に、どれぐらいの患者さんが搬送されているのか、ご紹介します。

迅速に対処する救急隊員と救急センターのス
タッフ
自宅が72%で最多
2005年の1年間で、心肺停止状態で救急搬送された症例は、52人でした。男性が36人、女性が16人で、男性が多くなっていました。年齢別では、平均年齢は71歳で、最年少が2歳、最高齢が93歳でした。(図1)
心肺停止となった場所については、一番多かったのが自宅で72%を占めていました。次いで救急車内(13%)、路上(7%)、施設(4%)、自家用車(2%)、職場(2%)という結果でした。
時間帯についても集計を行いました。19時、13時、6時の時間に多くなる傾向がありました。この時間が多くなる理由について検討したところ、「食事中」「入浴中」「朝起こしに入ったら」という要因が関与しているものと思われました。

心肺の再開率28%
次に心肺停止で搬送後、どれくらいの症例で自己心拍が再開したのか(心臓が動き始めたのか)についてです。搬送された52人のうち、心肺蘇生治療の対象となったのは、46人でした。蘇生対象でなかった6人は、死亡確認をすぐ行ったケースやがんの末期状態で心肺蘇生を希望されなかったケースということです。
自己心拍が再開したのは、46人中13人でした。心拍再開率は28%になります。日本救急医学会が1999年に全国の救命救急センターに対して行った調査では、心拍再開率は24%でしたので、東葛病院の成績は少し上回る結果となりました。
目撃者の処置重要
今回の調査から、重大な事実が明らかになりました。心肺停止に陥った時に、目撃者がすぐさま心臓マッサージを行った症例は12人で、そのうち心拍が再開したのは8人で実に66%もの確率で心拍が再開していました。反対に目撃者がいても目撃者が心臓マッサージを行わなかった症例は6人で、6人全員が心拍再開することなく死亡されていました。(図2)
この結果から、心肺停止になった時、目撃者による心肺蘇生が行われると、心拍が再開する確率が増えるということです。
自己心拍が再開したとしても、長期に生存したり、退院できたりするのは、残念ながらまだまだ少数です。(図3)
救える命を増やしていくためには、目撃者による素早い心肺蘇生の実施がとても重要になっています。
勇気いる救命行動
家族や職場で突然人が倒れたら、どうしたらいいのでしょうか?
まずは、声をかけて反応があるかどうか見てみます。反応がなければ次に、大声で周りの人に集まってもらいます。119番通報を頼みます。公共施設などでは、AED(エーイーディー:自動体外式除細動器)を持ってきてもらいます。
次に普段どおりの息をしているかどうか確認します。してなければ人工呼吸を2回行います。
続いて、胸骨圧迫による心臓マッサージを1分間に100回のペースで行います。胸骨圧迫は、胸の真ん中(乳頭と乳頭を結ぶ線の真ん中)に両手を重ねてのせ、胸が4−5p程度沈み込むまで圧迫してください。人工呼吸ができない、または躊躇される場合には、心臓マッサージだけでも構いません。
これらは、とても勇気のいる行動ですが、人命救助のために力を尽くすことが大事です。
救急センターでは、今後も心肺蘇生治療に全力で取り組んで行くのと同時に、市民向け心肺蘇生の普及にも取り組んで行きたいと考えています。 |