東葛病院の医療 付属診療所 在宅医療
在宅支援診療所としての2年間の活動
「最後まで自分らしく生きる」 希望を自宅で支えたい
東葛病院付属診療所は、2年前の在宅支援診療所の制度開始と同時に届け出を行い、在宅療養をされている患者さんの24時間ケアを行っています。現在、約200人の方のご自宅やグループホームに訪問をしています。
この2年間の訪問診療の中で数多くの事例を経験しましたが、その内の幾つかを含めて報告します。
付属診療所副所長 戸倉直実
訪問診療の範囲は、流山市と江戸川・運河・国道6号と16号に囲まれた地域に決めています。
在宅診療内容は、病気では癌・脳血管障害・神経難病・認知症・心不全・呼吸不全などです。
医療技術の進歩が在宅での不安軽減

往診車で患者さんの自宅へ向う戸倉医師(左)
と土谷看護師(右)(診療所前で)
慢性の病気が増え、医療機器がポータブルになり、介護保険制度も使えるようになったため、後遺症があってもどんなに高齢でも、自宅で治療を継続できるようになりました。現在在宅で行っている医療内容を表(自宅で行っている医療)に示します。特に、緩和ケアという「治らなくても苦痛がないようにする」モルヒネなどのオピオイドに代表される医療技術の進歩が、在宅での不安を軽減しています。
自宅で緩和ケアを受けられて、最後まで過ごされたMさんは、癌の末期で、在宅で家族と過ごすことを希望され、がんセンターから紹介されました。在宅での療養の経過を日記に記され、同じ境遇の人の参考にと、本を出版する準備が生きがいでした。
療養記録はご家族の手でまとめられ、病院の図書室にも寄贈していただきました。家族と友人への暖かいメッセージが詰まった本になりました。この2年間で78人の方を自宅で看取ってきました。それぞれの方に物語がありました。がんの方が59人で最も多く、「がん対策基本法」により在宅医療が推進された影響がみられました。
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お庭に咲く菖蒲の花を楽しむ渡邊利男さん(中
央)と奥様(左)、右は訪問看護を担当する南谷
看護師
神経の病気と診断された渡邊さんの場合は、長期の療養計画を立てています。四肢麻痺で気管切開のため発声ができないので、補助器具を活用しています。わずかに動く指でコンピュータを操作し、伝えたいことを文章にします。
また、大きな身体を車椅子に移動させるのに、リフターで吊り上げるようにしました。
介護者の奥さんは「始めはとても不安でしたが、ケアの人や訪問看護に支えられ、もう慣れました。家に帰って本人の顔つきが変わったのを見たら、退院してよかったと思いました」と語り、介護が板についた様子です。
在宅療養は助けを借りるのがコツ
在宅で療養する場合、何より大変なのは一日中介護することになる家族です。福祉サービスを駆使して一人暮らしをしている方もおられますが、まだまだ少数です。
一般に、医師の定期訪問診察を月2回、それ以外に病状により定期訪問診察や臨時往診にうかがっています。
日常は、訪問看護・リハビリ、介護保険によるベッドなど福祉用具の準備や入浴などの介護サービスを上手に活用する必要があります。本人と家族と医療と介護が連携しなければ在宅療養は実現できません。抱え込まずに、助けを借りるのが療養のコツです。
「自宅で過ごしたい」という社会復帰の願いを実現するには、家族の介護負担を軽減しなければなりません。
医療費枠と介護制度の拡充を望みます。

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