東葛病院 地域に根ざしてともに歩む
 

東葛の健康

No.287 2008年6月号

東葛病院の医療 付属診療所 在宅医療

在宅支援診療所としての2年間の活動

「最後まで自分らしく生きる」 希望を自宅で支えたい

 東葛病院付属診療所は、2年前の在宅支援診療所の制度開始と同時に届け出を行い、在宅療養をされている患者さんの24時間ケアを行っています。現在、約200人の方のご自宅やグループホームに訪問をしています。
 この2年間の訪問診療の中で数多くの事例を経験しましたが、その内の幾つかを含めて報告します。

付属診療所副所長 戸倉直実

 訪問診療の範囲は、流山市と江戸川・運河・国道6号と16号に囲まれた地域に決めています。
 在宅診療内容は、病気では癌・脳血管障害・神経難病・認知症・心不全・呼吸不全などです。

医療技術の進歩が在宅での不安軽減

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往診車で患者さんの自宅へ向う戸倉医師(左)
と土谷看護師(右)(診療所前で)

 慢性の病気が増え、医療機器がポータブルになり、介護保険制度も使えるようになったため、後遺症があってもどんなに高齢でも、自宅で治療を継続できるようになりました。現在在宅で行っている医療内容を表(自宅で行っている医療)に示します。特に、緩和ケアという「治らなくても苦痛がないようにする」モルヒネなどのオピオイドに代表される医療技術の進歩が、在宅での不安を軽減しています。
 自宅で緩和ケアを受けられて、最後まで過ごされたMさんは、癌の末期で、在宅で家族と過ごすことを希望され、がんセンターから紹介されました。在宅での療養の経過を日記に記され、同じ境遇の人の参考にと、本を出版する準備が生きがいでした。
 療養記録はご家族の手でまとめられ、病院の図書室にも寄贈していただきました。家族と友人への暖かいメッセージが詰まった本になりました。この2年間で78人の方を自宅で看取ってきました。それぞれの方に物語がありました。がんの方が59人で最も多く、「がん対策基本法」により在宅医療が推進された影響がみられました。

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お庭に咲く菖蒲の花を楽しむ渡邊利男さん(中
央)と奥様(左)、右は訪問看護を担当する南谷
看護師

 神経の病気と診断された渡邊さんの場合は、長期の療養計画を立てています。四肢麻痺で気管切開のため発声ができないので、補助器具を活用しています。わずかに動く指でコンピュータを操作し、伝えたいことを文章にします。
 また、大きな身体を車椅子に移動させるのに、リフターで吊り上げるようにしました。
 介護者の奥さんは「始めはとても不安でしたが、ケアの人や訪問看護に支えられ、もう慣れました。家に帰って本人の顔つきが変わったのを見たら、退院してよかったと思いました」と語り、介護が板についた様子です。

在宅療養は助けを借りるのがコツ

 在宅で療養する場合、何より大変なのは一日中介護することになる家族です。福祉サービスを駆使して一人暮らしをしている方もおられますが、まだまだ少数です。
 一般に、医師の定期訪問診察を月2回、それ以外に病状により定期訪問診察や臨時往診にうかがっています。
 日常は、訪問看護・リハビリ、介護保険によるベッドなど福祉用具の準備や入浴などの介護サービスを上手に活用する必要があります。本人と家族と医療と介護が連携しなければ在宅療養は実現できません。抱え込まずに、助けを借りるのが療養のコツです。
 「自宅で過ごしたい」という社会復帰の願いを実現するには、家族の介護負担を軽減しなければなりません。
 医療費枠と介護制度の拡充を望みます。

別表

 


連載(5)
堂下佐知子の誰でもできるストレッチ体操

2008年 しなやかトレーニングで若返り&ダイエット!

(5)膝痛&O脚対策

 田んぼの蛙がにぎやかな季節になりました。
 低気圧が近づくと、膝が痛む方も多いと思います。膝が痛む場合は、まず、膝裏の柔らかいところや、すぐ下のふくらはぎを指で良くもみほぐしてみましょう。静脈がうっ血している所がほぐれ、それだけでも痛みが和らぎます。
 また、足指を良く動かし足部の働きを良くすること、膝を支える筋肉を適度に鍛え、新陳代謝を高めつつ、関節を保護していくことが大切です。
 特に太腿の前と内側の筋肉を鍛えると、O脚を予防改善することができます。

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シリーズけんさ(30)

乳腺エコー検査(II)

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検査中の筆者

 今回は乳癌についてお話します。
 乳癌は乳房の中にある「乳腺の細胞」にできる病気です。乳癌には多くの種類があり、同じ乳癌であっても細胞の性格はおとなしいものから活発なものまでさまざまで、患者さんによって異なります。
 最新の統計でも、女性の癌罹患率では1位となっています。当院に受診され、乳腺エコー検査を施行された方の統計をとると、20人に1人が乳癌と診断されています。
 乳癌を発見するには検査が必要ですが、実際はご自身で乳房にしこりを見つけ、来院された方がほとんどです。癌はやはり早期発見、早期治療することが第一です。
 乳房に気になることがあれば、すぐに受診し、エコーやマンモグラフィ検査を施行されることを強くお勧めします。
臨床検査技師・加瀬智史



歯科コーナー 知ってました?

歯周病安定期治療

メンテナンスノススメ

歯科医師 新井 潤

写真 歯周病が糖尿病や心疾患を悪化させるという話は皆さんも一度は耳にしたことがあるかと思います。では、歯周病の進行を抑制し、改善していくためにはどうすれば良いでしょうか。

* ―― *

 まずは、歯ブラシでのプラークコントロールの徹底です。これができていないと他の処置をしても歯周病はなかなか改善してくれません。
 次に、歯の周りについた歯石除去を何回かに分けて行います(多い人で7〜8回くらいに分けて行います)。
 そして、歯周病が進行している方には、さらに歯科医師による歯茎の外科処置を行います(多い人で5〜6回程度行います)。

* ―― *

 では、これで歯周病の処置は終わりでしょうか。実はそうではありません。歯周病は慢性疾患であり、これらの処置は「初期治療」と呼ばれるもので、歯周病をきちんと改善していくためには、お口の中の状態を1〜数カ月おきに定期的にチェックし、ブラッシング指導、歯石除去、クリーニングを行い、長期的なスパンで経過観察する「メンテナンス」を行うのが非常に重要です。その有効性は統計でも明らかにされています。

* ―― *

 日本の保険制度でもこの「メンテナンス(現在は歯周病安定期治療と呼びます)」による治療が少し前に導入されましたが、診療上の制約が厳しいため、実際に保健診療でのメンテナンスを行っている歯科医院は全国でも1〜数パーセント程度でした。
 東葛歯科では、その中でも多くの方に保険診療でのメンテナンス治療を受けていただいており、これからもなるべく多くの方に保険でもメンテナンスを行えるよう、日々がんばっています。



聴診器

患者さんの立場に立って

 後期高齢者医療制度が始まったころ、「今まで子どもの扶養に入っていたが、制度が始まり保険料が天引きされるらしいけれども、一体どういうことなのか?」と相談を受けました。訳がわからず、とにかく不安だった様子です。
 詳しく話を聞いてみると、この方の場合は75歳未満でしたが、身体障害者手帳を持っていたために後期高齢者医療制度に組み入れられていました。
 65歳以上75歳未満で身体障害者手帳をお持ちの方ならば、実は、引き続き扶養に入るか広域連合の保険に入るかを選ぶことができるのですが、市側からは詳しい説明はなく、訳のわからないまま広域連合に加入することになったことがわかり、納得されるまでお話ししました。
 患者様は知ることができなければ、声を上げることもできません。
 私たち医療従事者にとって、患者様をとりまくこのような「わかりにくさ」との闘いも重要な使命の一つであると考えさせられました。(C)



東葛病院・付属診療所の医療活動




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