東葛病院 地域に根ざしてともに歩む
 

東葛の健康

No.288 2008年7月号

東葛病院の医療 外科

国民病となった 痔核(いぼ痔)とその治療

治療主体は簡便で低侵襲性の硬化療法へ

写真 東葛病院の外科では、小さい傷の処置から全身麻酔下の外科手術まで、地域に密着した医療を展開しています。新しい治療法を勉強し、患者様により良い医療を提供すべく医師、看護師みんなで智恵を出しあっています。今回は、国民病となった「痔核」とその治療についてお話します。
外科医師 スレスタ サントス

 痔核は肛門疾患のなかでも最も頻度の高い疾患です。肛門は繊細で微妙な働きを有する部位なので、治療に際しては医療者も繊細な気配りと注意が必要です。
 発生部位によって、痔核は大きく二つに分けられます。(1)肛門の内側にできるもの(内痔核)、(2)外側にできるもの(外痔核)。【図1】しかし、臨床の場では両者が混在していることがほとんどです。

出血を放置せず受診を

写真
他の腹腔内疾患を手術中の外科医師たち
(本記事とは関係ありません)

 どんな症状があるかというと
(1)出血:便や紙に血が付くなど軽い出血から、トイレが赤くなるくらいに出血をすることもあります。受診をせずに長く放置すると、高度の貧血になることもあります。
(2)脱出:肛門内の軽い腫れから、排便時のみ肛門の外側に脱出するものや常に脱出しているものまで程度はさまざまで、I度からIV度と四つに分類されます。【図2】
(3)痛み:内痔核では痛みを感じることがないのですが、混合型では痛みがあります。外へ出てしまい、むくみがひどくなると(かんとん痔核)激烈な痛みが出現します。

肛門鏡検査

  診断は患者様の話を良く聞いて、見て、指や肛門鏡という特殊な器具で肛門の中を観察して行われます。他の肛門疾患、特に大腸癌も潜んでいる可能性もありますので、慎重に調べます。

治  療

  治療は個々の患者様に適した最も良い治療法を選択します。いろいろな治療法がありますが、ここでは、当院で行われている治療を中心に紹介させていただきます。

1、保存的治療(薬物治療・生活習慣の指導):症状の軽いものが適応です。内服薬から局所に対する軟膏や坐薬、ステロイド含有薬や局所麻酔含有薬と数多くあり、症状と進行度に合わせた治療が必要です。
 1〜2週間の保存的治療にて症状の改善がない場合や悪化した場合は速やかに次のステップへと移ります。

2、手術療法:保存的治療法の効果がない、症状が重いものが適応です。結紮切除術が標準手術法です。

3、硬化療法:脱出・腫脹・出血性の痔核に直接薬剤を注射して血流を遮断し、縮小や止血を目的とする治療法です。
 近年、中国伝統医学の消痔霊の成分を改良した硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸(ALTA)が開発され(日本では2005年より認可)、東葛病院でも始まりました。
 4段階注射法という独特の投与手技により、血流遮断による止血と縮小を図る方法で、手術に近い治療効果が期待できます。
 2〜3日の入院でできる簡便かつ低侵襲性の治療法なので、最近多く行われるようになっています。保存的治療で改善がなく、手術に抵抗のある患者様はぜひ考えてみてください。
 一言で痔核と言ってもさまざまな種類があり、またその程度もさまざまです。
 さらに他の肛門疾患や大腸疾患(癌も含む)が潜んでいる可能性があるので、速やかに受診し、適切な治療を受けることをお勧めします。

図

 


連載(6)
堂下佐知子の誰でもできるストレッチ体操

2008年 しなやかトレーニングで若返り&ダイエット!

(6)バランス能力をアップして、いつまでも若々しく!

 地球の重力に抗して、転ばずに思うように立って歩いて体が動かせるということは、簡単なように見えて、実は赤ちゃんが、寝返り、起き上がり、ハイハイを経て、立って歩いて走ってジャンプもできるようになって、という具合に、何年もかけて脳が獲得していく能力です。
 あって当たり前に思っているこの「バランス感覚」という能力は、年齢と共に、また低下していく傾向にあります。
 特に、肥満傾向の方、動脈硬化のある方、脚力の低下のある方は、要注意! バランス感覚向上メニューで、いつまでも機敏に若々しくありましょう!

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シリーズけんさ(31)

血糖自己測定 (上)

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血糖自己測定の実際

 糖尿病を患っている方は年々増え続け、740万人と推定されています。当院でも約1,500人の方が糖尿病の治療を受けておられます。
 糖尿病治療の目標は合併症を起こさない良い状態を保ち、健康人と変わらない生活を送れるようにすることです。それには、血糖コントロールが基本となります。血糖を病院で測るだけでなく、日々の生活の中で測定・記録し治療に生かすことが大切となります。
 最近の測定器は、小型で使いやすく、性能も良くなっています。より正しい値を得るために次のことに注意してください。
 血液量は米粒大出してください。足りないと本当の値より低く出てしまします。長く測り続けていると指先も硬くなり血液が出にくくなってきます。刺す場所や指を毎回変え、針の深さも調節するなど工夫が必要です。
臨床検査技師・錦戸洋子



クスリ あ・れ・こ・れ

禁煙補助薬

禁煙外来で専門医に相談を

薬剤師 小山飛鳥

写真 最近、薬局で買える禁煙補助薬の種類が増えました。市販薬ではガムやパッチ(貼り薬)といった形の禁煙補助薬があります。これらは、たばこの代わりにニコチンを補充するくすりです。
 禁煙できない理由の一つは、体の中のニコチンが減ると、頭痛・イライラ・だるさ等といった離脱症状が出てきてしまうためです。たばこのニコチンをくすりに置き換えて、徐々に減らしていくことで、離脱症状をおさえて禁煙する事を助けてくれます。
 たばこが止められない理由のもう一つは、食後の一服など、習慣になっているためです。習慣に対しては本人の工夫や意思が必要です。
 例えば口寂しくなったら、水やお茶を飲んだり干昆布や低カロリーのガムを噛んでみる、朝一番や食後の行動を歯磨きに変えてみるという方法もあります。
 休みにあわせて禁煙を計画するなど、ストレスを減らす工夫も効果的です。
 市販の禁煙補助薬では足りないこともあるかもしれません。一度禁煙しても、失敗してしまうこともよくあります。それでもあきらめないことが、一番大切です。
 そんな時はぜひ、禁煙外来で専門医に相談してみてください。



聴診器

現代社会の歪み

 先日、秋葉原の歩行者天国で孤独な若者による無差別殺人といったおそろしい事件が起きました。しかも、今回の事件の犠牲者に当院で自然気胸の手術をしたばかりの19歳の大学生がいたことに驚きました。心からお悔やみ申し上げます。
 自然気胸とは、肺の表面が脆くなって破れる病気です。今回、再発であったため手術になりました。胸腔鏡下に肺の病変部を切除し、術後も問題なく外来に抜糸にこられたばかりでした。
 無差別殺人の加害者は「誰でもよかった」と話していますが、自分だけの世界に閉じこもり、犠牲になった方にそれぞれの人生や家族がいることの視点がまったく欠落しています。9年前にも池袋のサンシャイン前での通り魔殺人がありましたが、同じようなことが繰り返される現代社会の歪みを感じざるをえません。
 お互いを助け合う思想を基にした社会保障を削り、競争至上主義といった市場原理の導入が不安定さを助長しているように思えます。
(M・K)



東葛病院・付属診療所の医療活動




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