東葛病院の医療 外科
国民病となった 痔核(いぼ痔)とその治療
治療主体は簡便で低侵襲性の硬化療法へ
東葛病院の外科では、小さい傷の処置から全身麻酔下の外科手術まで、地域に密着した医療を展開しています。新しい治療法を勉強し、患者様により良い医療を提供すべく医師、看護師みんなで智恵を出しあっています。今回は、国民病となった「痔核」とその治療についてお話します。
外科医師 スレスタ サントス
痔核は肛門疾患のなかでも最も頻度の高い疾患です。肛門は繊細で微妙な働きを有する部位なので、治療に際しては医療者も繊細な気配りと注意が必要です。
発生部位によって、痔核は大きく二つに分けられます。(1)肛門の内側にできるもの(内痔核)、(2)外側にできるもの(外痔核)。【図1】しかし、臨床の場では両者が混在していることがほとんどです。
出血を放置せず受診を

他の腹腔内疾患を手術中の外科医師たち
(本記事とは関係ありません)
どんな症状があるかというと
(1)出血:便や紙に血が付くなど軽い出血から、トイレが赤くなるくらいに出血をすることもあります。受診をせずに長く放置すると、高度の貧血になることもあります。
(2)脱出:肛門内の軽い腫れから、排便時のみ肛門の外側に脱出するものや常に脱出しているものまで程度はさまざまで、I度からIV度と四つに分類されます。【図2】
(3)痛み:内痔核では痛みを感じることがないのですが、混合型では痛みがあります。外へ出てしまい、むくみがひどくなると(かんとん痔核)激烈な痛みが出現します。
肛門鏡検査
診断は患者様の話を良く聞いて、見て、指や肛門鏡という特殊な器具で肛門の中を観察して行われます。他の肛門疾患、特に大腸癌も潜んでいる可能性もありますので、慎重に調べます。
治 療
治療は個々の患者様に適した最も良い治療法を選択します。いろいろな治療法がありますが、ここでは、当院で行われている治療を中心に紹介させていただきます。
1、保存的治療(薬物治療・生活習慣の指導):症状の軽いものが適応です。内服薬から局所に対する軟膏や坐薬、ステロイド含有薬や局所麻酔含有薬と数多くあり、症状と進行度に合わせた治療が必要です。
1〜2週間の保存的治療にて症状の改善がない場合や悪化した場合は速やかに次のステップへと移ります。
2、手術療法:保存的治療法の効果がない、症状が重いものが適応です。結紮切除術が標準手術法です。
3、硬化療法:脱出・腫脹・出血性の痔核に直接薬剤を注射して血流を遮断し、縮小や止血を目的とする治療法です。
近年、中国伝統医学の消痔霊の成分を改良した硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸(ALTA)が開発され(日本では2005年より認可)、東葛病院でも始まりました。
4段階注射法という独特の投与手技により、血流遮断による止血と縮小を図る方法で、手術に近い治療効果が期待できます。
2〜3日の入院でできる簡便かつ低侵襲性の治療法なので、最近多く行われるようになっています。保存的治療で改善がなく、手術に抵抗のある患者様はぜひ考えてみてください。
一言で痔核と言ってもさまざまな種類があり、またその程度もさまざまです。
さらに他の肛門疾患や大腸疾患(癌も含む)が潜んでいる可能性があるので、速やかに受診し、適切な治療を受けることをお勧めします。

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