東葛病院の医療 心臓CT
マルチスライスCTスキャンによる心血管系動脈造影の診断
狭心症、心筋梗塞の診断に威力を発揮
マルチスライスCTスキャンは06年8月に導入され、色々な分野でその威力を発揮しています。近年心筋梗塞や脳梗塞などの血管内治療が益々進歩していますが、その原因となる血管の動脈硬化の診断についてどのように活躍しているか紹介します。
東葛病院院長 本間 章
狭心症や心筋梗塞は、冠動脈の血管壁にコレステロールなどの脂質がとりこまれ、プラ―ク(粥腫)といって血管壁が肥厚する事により、狭くなり胸痛などの症状を発現します。心筋梗塞はこの粥腫が破綻しそこに血栓が出来ることにより最終的に閉塞し発症します。
このプラ―クの検出に以前ですと心臓カテーテル検査(からだの中に細い管を通す検査)が必要でしたが、このCTスキャンにより、造影剤を静脈注射するだけで、10分程度で撮影する事が出来ます。画像処理をする事により、冠動脈の状態を詳細に見る事が出来ます。これにより高度の狭窄がうたがわれる場合にカテーテル検査及び治療が必要な方を見分ける事が出来るようになってきました。
次に実例を紹介しましょう。
健診にて心電図異常があり狭心症が診断された患者さん。
冠動脈CT【図1】には右冠動脈に99%狭窄を認めた為、カテーテル検査を行い、バルーン及びステントによる血管形成術を行っています。【図2・3】

図1:右冠動脈に狭窄を認めるCT画像
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図2:血管形成術前の冠動脈像 |

図3:術後の冠動脈像
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図4:内頚動脈に狭窄を認めるCT画像 |
脳梗塞の原因になる内頚動脈の狭窄
脳梗塞の前兆として一過性脳虚血発作という病名があります。これは一過性の手足の麻痺、呂律が回らない、意識消失などの症状を言います。こういった場合に内頚動脈(首の血管)に狭窄があることがあり、この評価にCTスキャンが威力を発揮します。【図4】は一過性意識消失の精査にてCTスキャンを撮影したものです。高度の狭窄があることが分かります。これもカテーテルによる治療を行い元気にしていらっしゃいます。
心臓CTの有用性と限界を理解して
マルチスライスCTスキャンは、このように冠動脈や脳血管の診断に画期的な進歩が見られ治療方針の選択に有用性を発揮しています。しかし造影剤を手の静脈から注入しなければなりませんので、造影剤アレルギーのある方、腎機能が悪い方は使用する事ができません。現在のCTスキャンの機械の限界から、心臓の場合心拍数が多すぎたり、心臓の動きが激しいと診断に足る綺麗な画像がつくれません。また血管の石灰化が強いと血管の内腔が評価できません。
やはりCTスキャンで全てが分かってしまうわけではなく、色々な検査を組み合わせて正確な診断、治療が必要な事はいうまでもありません。 |