東葛病院 地域に根ざしてともに歩む
 

東葛の健康

No.289 2008年8月号

東葛病院の医療 心臓CT

マルチスライスCTスキャンによる心血管系動脈造影の診断

狭心症、心筋梗塞の診断に威力を発揮

写真 マルチスライスCTスキャンは06年8月に導入され、色々な分野でその威力を発揮しています。近年心筋梗塞や脳梗塞などの血管内治療が益々進歩していますが、その原因となる血管の動脈硬化の診断についてどのように活躍しているか紹介します。

東葛病院院長 本間 章

 狭心症や心筋梗塞は、冠動脈の血管壁にコレステロールなどの脂質がとりこまれ、プラ―ク(粥腫)といって血管壁が肥厚する事により、狭くなり胸痛などの症状を発現します。心筋梗塞はこの粥腫が破綻しそこに血栓が出来ることにより最終的に閉塞し発症します。
 このプラ―クの検出に以前ですと心臓カテーテル検査(からだの中に細い管を通す検査)が必要でしたが、このCTスキャンにより、造影剤を静脈注射するだけで、10分程度で撮影する事が出来ます。画像処理をする事により、冠動脈の状態を詳細に見る事が出来ます。これにより高度の狭窄がうたがわれる場合にカテーテル検査及び治療が必要な方を見分ける事が出来るようになってきました。
 次に実例を紹介しましょう。
 健診にて心電図異常があり狭心症が診断された患者さん。
 冠動脈CT【図1】には右冠動脈に99%狭窄を認めた為、カテーテル検査を行い、バルーン及びステントによる血管形成術を行っています。【図2・3】

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図1:右冠動脈に狭窄を認めるCT画像

 

 

 

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図2:血管形成術前の冠動脈像

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図3:術後の冠動脈像

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図4:内頚動脈に狭窄を認めるCT画像

脳梗塞の原因になる内頚動脈の狭窄

 脳梗塞の前兆として一過性脳虚血発作という病名があります。これは一過性の手足の麻痺、呂律が回らない、意識消失などの症状を言います。こういった場合に内頚動脈(首の血管)に狭窄があることがあり、この評価にCTスキャンが威力を発揮します。【図4】は一過性意識消失の精査にてCTスキャンを撮影したものです。高度の狭窄があることが分かります。これもカテーテルによる治療を行い元気にしていらっしゃいます。

心臓CTの有用性と限界を理解して

 マルチスライスCTスキャンは、このように冠動脈や脳血管の診断に画期的な進歩が見られ治療方針の選択に有用性を発揮しています。しかし造影剤を手の静脈から注入しなければなりませんので、造影剤アレルギーのある方、腎機能が悪い方は使用する事ができません。現在のCTスキャンの機械の限界から、心臓の場合心拍数が多すぎたり、心臓の動きが激しいと診断に足る綺麗な画像がつくれません。また血管の石灰化が強いと血管の内腔が評価できません。
 やはりCTスキャンで全てが分かってしまうわけではなく、色々な検査を組み合わせて正確な診断、治療が必要な事はいうまでもありません。

 


シリーズけんさ(32)

血糖自己測定 (下)

写真 前回に引き続き血糖自己測定のお話です。
 実際の測定時に注意していただくこととして、「血液の量は米粒大出していただくこと」の他に、「血液を出す時絞りすぎないよう」にして下さい。組織液という体液も出てきて血液が薄まり、これも実際より低く出てしまいます。
写真 必要な血液を出せるように、刺す指と場所を変えていただくこと、針の深さを調整することも大事です。刺した後が黒く硬くなっていたら、しばらくそこは使わないで別の指や場所を刺すようにして下さい。
 指先だけでなく、手のひらならどこでも良いです。仕事などで指先は嫌だなと思っておられる方は一度試してみて下さい。
臨床検査技師・錦戸洋子



歯科コーナー 知ってました?

ドライマウス

お口の渇きにご用心!

歯科衛生士 萩原暁子

写真 ドライマウスとは、唾液の質的異常や分泌量が少なくなることで“口腔乾燥症”とも言われ、現在その人口は800万人とも推定されています。
 唾液は1日約1・5リットル分泌され、その役割には抗菌作用・消化作用・粘膜保護作用…など、それぞれが重要な役割を担っています。その唾液の分泌量が減少することにより、口の中が乾きしゃべりづらくなったり、食べ物が飲み込みづらくなったりし、その結果水分が手放せなくなります。ひどくなると、舌の痛みが出たり味覚障害や口渇感による夜間の睡眠障害を引き起こします。

★最近こんな症状はありませんか?

  1. パンやビスケットが 食べづらい
  2. 味覚が変わった
  3. 夜間、飲水のために 起きる
  4. 口臭が気になる
  5. 舌が痛い
  6. 目と口が乾く

 複数当てはまれば、ドライマウスの可能性があります。

★ドライマウスの さまざまな原因

  1. 食生活:現代の食生活が、唾液を充分に出さなくても飲み込めるような食事が主流になっているため。
  2. 精神的ストレス・緊張:ストレスがかかったり緊張すると、交感神経が刺激され唾液の分泌が抑制されます。
  3. 服薬の影響:抗うつ剤、睡眠薬、降圧剤などの薬物の副作用として、唾液分泌の低下があります。
  4. 加齢によるもの:年齢とともに、口やあごの筋力の低下や萎縮が起こり、唾液の分泌量が低下します。
  5. 口呼吸:鼻炎などの鼻疾患や癖などで口呼吸をすると、唾液は蒸発してしまい口が乾く原因となります。
  6. その他病気など:シェーグレン症候群、糖尿病、脱水症、放射線など

★対処法

 口の中の粘膜保護が必要な事から、スプレーによる噴霧、保湿力の高い洗口液・保湿ジェルの使用など。その他ガムを噛む、服薬の軽減、唾液腺マッサージなどがあります。
 対処法は原因によって異なってきます。まずはその原因を知ることが重要です。



聴診器

10年ぶりに復帰して

 東葛病院に約10年ぶりにもどってきました。この間は診療所、訪問看護ステーションを主に、在宅医療、看護、介護の現場にいました。
 10年ぶりの病院で感じたことはまず、職員がとても多いこと。さまざまな労働条件、内容が整備され改善されていることでした。以前、倒産状態の頃は全国の民医連から支援をいただきながら、日勤深夜、準夜日勤など夜勤は月12〜14回。日勤は片チーム2人の看護師での病棟勤務。本当に過酷でした。今は恵まれていると感じます。
 在宅では患者さん、家族が主体の、生活の場の中にある24時間の医療、看護。患者さんの人生に寄り添うことが実感できる場でした。病棟勤務にもどり、あらためて現在の医療制度の持つ問題点を患者さんの視点で見直す必要性を感じます。
 地域と連携し、患者さん、ご家族とともに喜び、ともに悲しむことのできる看護が病棟でもできるといいなと思っています。
K・I



平和について全職員集会・原水禁世界大会壮行会開く

被爆体験を聞き、平和への新たな思いを誓う

 7月16日、東葛病院で「戦争も核兵器もない平和な世界を願って」をテーマにした学習会と、原水爆禁止2008年世界大会(広島)への代表団壮行会を行いました。

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当時の写真を示しながら語る市原憲二郎さん

 講演は、千葉県原爆被爆者友愛会事務局長の市原憲二郎さん。長崎での被爆体験を聞きました。
 市原さんは少年時代軍馬にまたがる軍人に憧れるバリバリの軍国少年でした。1945年8月9日、長崎の良く晴れた暑い夏の日に落とされた一発のピカドン。それは一瞬眼も眩む黄色い光。近くに爆弾が落ちたと思い机の下に身をかがめた瞬間家ごと持ち上げられる。そこには今まで鳴いていたセミの声もなく、死の世界が。母の声に隣の部屋にいた妹が体中ガラスを打ち込まれたような姿で泣いていた。時間が経つにつれ負傷者が軍医宅に運び込まれる。重症者が増えるにつれ、「水、水を下さい、助けて下さい」の声。9歳の市原少年はなすすべもなく「しっかりしてください」と腕をにぎるとズルリと皮がむける。人間の顔でない人間の群れ、呻き声が消えていく世界。人間感情喪失の日々の始まり。帰らぬ兄を探しに街中へ。街は熱く黒焦げの人馬。兄は翌朝裸で帰ってきた。腸の飛び出した友人を看病し、新型爆弾が落とされたことが解った。

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決意表明する小島医師と代表団

 ここまでの話で会場は静まりかえり、集った職員80人はあまりの悲惨な原爆にことばを失い、ただ市原氏を見つめるだけ。
 戦後、母が死亡し、自らも頚部リンパ腫を発症。奇形児ができると結婚に反対され戦後も被爆者としての闘病の日々。
 「戦争も核兵器も人間が決意すれば廃止することができる。平和の道しるべは日本国憲法です」と締めくくりました。
 続いて、原水禁世界大会(広島)に参加する入江・岡安・小島・神田の各研修医、付属診高原さん。友の会代表として参加の熊谷・荻・三村さんの計8人が紹介されました。
 各代表からは「悲惨な核兵器をなくし戦争の無い平和な世界をつくる為広島の世界大会で一生懸命に勉強してきます!」と力強い決意表明がありました。(山縣)



東葛病院・付属診療所の医療活動




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