東葛病院の医療 内科(循環器)
長時間同じ姿勢でいる状態や脱水症状を避ける
近年増加傾向にある肺血栓塞栓症とは
東葛病院では、さまざまな急性期の疾患の診断・治療が行われています。今回は、近年増加傾向にあり、程度が重いと死に至る場合もある「肺血栓塞栓症」という病気について紹介します。
東葛病院 内科 吉田宏志
血栓=血の塊
体の中では、心臓は全身に血液を送り出すポンプの働きをしており、心臓から送り出された血液は胸やお腹の中の太い大動脈という血管を通って頭や手足に流れます。やがて血液はそれぞれの末端にある毛細血管を通って静脈に流れ込み、上・下大静脈を通って心臓に戻ります。戻ってきた血液は、再び酸素が豊富に含む血液になるため、肺動脈を通って肺の中を流れ、酸素をもらいます。酸素をもらった血液は肺静脈を通って心臓に戻り、再び全身に送り出されます(図1)。肺血栓塞栓症とは、この血液の流れの中で、静脈の中で作られた「血栓」という血の塊が肺動脈に詰まってしまい(写真1矢印)、その後に血液が流れなくなってしまう病気です。
| 図1 |
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| 写真1 |
多様な原因で
いろいろな原因で起こりますが、よく知られているのが「エコノミー症候群」といわれる長時間飛行機の中で座っていて発症する場合ですが、手術や骨折などで動けない状態が長く続いたりした時も起きます。血栓が出来る場所で多いのは下肢や骨盤の中です。
突然の胸痛や呼吸困難で発症し、安静が解除され初めて立ち上がったり、排便・排尿した時に起きやすいされています。
肺動脈にどの程度詰まるかによって症状は変わりますが、大部分が血栓で詰まれば、血液はその後の肺・心臓・全身に流れることができなくなるため、血圧が低下し(ショック状態)になり、死に至ります。
東葛病院では、97年からの約10年間で31例の肺血栓塞栓症の患者さんを経験しました。年齢は24・86歳で、平均は68・5歳でした。性別では男性7例、女性24例(うち肥満女性は9例)でした。残念ながら、6例(2割弱)の方が亡くなられていました。
予防する工夫
胸痛、呼吸困難、息切れなどを症状とする病気には狭心症や心不全などがよく知られていますが、肺血栓塞栓症も忘れてはいけない恐い病気です。
日ごろ健康でも足の骨折など整形外科治療中や長距離の旅行などで長時間足を動かさない状態でいると下肢の静脈に血栓ができ、それが肺に飛んで詰まる危険性があります。時々足を動かしたり、脱水にならないよう水分補給をしたりして、血栓を作らないようにする工夫が重要です。 |